パリに住んでる以上は、結婚後は男友達と遊べなくなる

 私が結婚をして 明らかにできなくなくなったと感じたのは「男友達と遊ぶ」ということです。

 特に私が今住むパリでは、男と女が対になって一杯飲みに行く、食事をしに行くというのは「デート」とみなされてしまいます。
なので、誘う方も誘われる方も「デートに誘われている」という覚悟で返事をするのです。男女の友情が成立することは滅多にありません。

 それを知らなかった(今の旦那さんと結婚前&同棲中だった)私は、夜にパリジャンの男の友人から誘われて、ほいほい家を出て行って遊んでいました。
東京に住んでいた頃と同じことをしている気分だったし、それができなくなることは自由を奪われるような気がしていたからです。

 そうして、電話をして誘ってくれていたパリジャンの友人の様子が変わってくることに気がつきました。私は彼に「気があるから会いに来てくれたんだ」と思わせてしまったのです。当然の結果ですね。

 さらに彼に対して、当時まだ結婚していなかった旦那さんの愚痴を漏らしていたことで、彼に「ひょっとして、その彼と別れてオレのところに!?」と思わせてしまったこともあるようです。

 ずっとモテない人生を日本で送ってきたので、恋愛慣れをしていないどころか、まさか私が彼にそんな思いをさせてしまうなんて想像もしていませんでした。
しかし、ようやくそのまずさに気がついたのと、男友達に会いに行くのを嫌がる旦那さんにも後ろめたくなり、彼との連絡が途絶えていきました。

 結婚後の旦那さんは、私が他の男性と遊びに行かないかを前以上に警戒し、はっきり反対するようになりました。結婚って、拘束力が強まることを実感したのです。

 ただしその後、話し合っていく中で「日本人の男友達でかつ、旦那もよく知っている人とであれば外出OK」という旦那さんのボーダラインも分かってきました。
まあ、そもそもパリには圧倒的に日本人女性が多く、日本人男性も日本に帰ってしまう人が多いので、寂しくなってしまうのですけどね。

 最近はもっぱら女友達とばかり遊んでいますが、それだと偏ってしまうような、面白くないような…。
しかし、パリに住んでパリジャンの旦那さんがいる限り、パリジャンの友人を持つことは不可能に近そうです。

Text/中村綾花