優秀な異性を自分のパートナーにするための本能
パリはようやく春の陽気に突入し、冬とはうってかわって人々が陽気なのがわかります。私の上の階に住む若い住人もヒップホップ・ミュージックをガンガンかけて、友人を大勢呼んで毎晩のようにパーティー三昧。活動的になるのはいいけれど、音が響きやすいパリのアパートでそれをやられると、下の住民(私)はノイローゼになります。いや、本当にまいった。
春で活動的になっているのは上の住人だけじゃありません。休みの日に晴れたりなんてすると、どれだけ大きな公園でもパリジャンで大渋滞。芝生のグリーンより、パリジャンの方が多いなんて景色が見られるのです。
パリの冬を一度でも経験してみると、その長さ、寒さ、しんどさに、春が本当に待ち遠しく感じられます。ようやく春がくると、それまで縮こまっていた羽を思いっきりのばし、太陽の光を浴び、しみじみと生きていることを感じられる瞬間があるのです。
こうした自然の変化に左右される時こそ、私たち人間は生き物なんだなと実感します。
先日フランスのテレビで、フランスの動物のドキュメンタリー番組を放送していました。どの動物も大自然の中で生きるか死ぬか、のサバイバルの毎日。中でも、なかなか興味深かったのは、オスとメスの出会いのシーンでした。
優秀なメスとオスの出会いには、相手の気を惹くために、あれやこれやと作戦が繰り広げられていること。また、時には他のメスやオスとの競争や、命をかけるような決闘があったりする。
このたくましい動物たちの生き様を見ていて、人間の自分を振り返った時、なんだかとても恥ずかしくなったのでした。
というのも、私は男の気を惹こうと化粧をしたり、自分の本当のキャラクターを変えてでも、気に入られるように振る舞ったりする女性を毛嫌いしているのですが、これは優秀な異性を自分のパートナーにするための本能的な作戦であって、ごく自然の摂理に合ったことをしている、と分かったからです。
自分ができないことを、あっさりとやってのける他の女性がうらめしいからこそ嫌っていたことですが、ひねくれた見方をしてしまっている人間の自分に気がつきました。
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