元気が出ないときの感情のコントロール方法
――ただ、「今日は人とにこやかに話せる自信がない…」といった日もありますよね。そんな日はどうやって自分の感情をコントロールしていましたか?
入店前に一度笑顔を作り、ドレスに着替えた後に鏡に向かいもう一度笑顔を作ると、仕事中も明るい気持ちで過ごせることが多かったです。これも入店したての頃先輩ホステスさんが教えてくれたことで、働いている間は欠かさずやっていました。白いばらの衣装室には他の店にはない高級感のあるドレスがずらっと並び、選ぶ楽しさがありました。
――ホステスに限らず、どんな女性でもクローゼットに自分の着たい服がたくさんあると、テンションが上がりますね。
他にテンションを上げる方法としてはメイクも大きいですね。元気がない日はいつもより気合いを入れてメイクしていました。白いばらの店内はキラキラ感を高めるため、鏡張りだったのですが、ふとした瞬間に見える自分の姿が素敵だとやはり嬉しいんです(笑)
それでも、最後まで「気分が前向きにならないな…」と感じる日もありましたよ。そのときは、勤務後に自分の好きなメイクや髪型をして帰るようにしていました。
――なるほど、自分の内面のコントロールが難しい場合は、見た目で調整していたんですね。ホステスさんでなくても、例えば可愛い服を着たり素敵なネイルをしたりすることは、参考になりそうです。
また、たとえ落ち込んだとしてもそれを表に出さず、自分を信じて頑張り続けることが大事だと思います。
例えば、「お客様から指名をはずされた」というショッキングな出来事があったときは、黒服さんが「嫌われたわけではない。踏ん張ればお客様は戻ってくる」とアドバイスしてくれたので、それを信じ頑張り続けました。
白いばらは他の店よりホステスが多い職場でもあったので、辛いときは結束して守り合えました。ホステスに限らず、辛い目に遭ったとき、仲間と結束することができれば救いになるのではないでしょうか。
自信を失ったときの解決策は「悪いことしてない」
――女性らしさを保ちながら、面白い話をするにはどうすればいいですか? 場をなごませようとして女を捨ててしまう人、よくいますよね……。
「自分をおとしすぎないこと」は、他者とのコミュニケーションでは重要ですね。
「私、ババアだから」など自虐的な発言をして、自分で自分の価値を落としてしまうのは本当にもったいないことです。
もちろん、「ホステスとお客様」と、「一般の男女間」のコミュニケーションは少し違うので全部マネすればいいというわけではありません。
コミュニケーションをとるうえで、自分のことも他人のこともバカにしないように意識することは、どの女性にとっても欠かせないことではないでしょうか。
――そうですね。ただ、会話中、相手につまらなそうな顔をされるとどうしても後から反省してしまいがちな人が多いと思います。どうすれば気にせず会話を楽しめるのでしょうか。
そういう悩みを抱えたときは、「自分は素敵なんだ」「悪いことはしていない」と自信をもつのが1番の解決策ではないかと思います。
そのためにも、自分の好きな洋服を着て、好きなメイクをして、自尊心を保ちながらコミュニケーションをとることが大切ですね。「相手にどう思われているか」は考えすぎず、「自分ありきの自分」という意識をもつことは重要だと思います。
また、「我慢しなくてもいい」ということは、ホステスに限らず大事な考え方だと思っています。
私たちも黒服さんに「無理することないから」と言ってもらえて救われた部分がかなりあるので…「無理をしなくてもいい」とご自身を労わってほしいですね。
TEXT/若林理央
取材協力/郷里の娘 銀座最後のキャバレー「白いばら」の元ホステス3名が運営するサークル。「白いばら」閉店後に運営を開始。本の発行を通し「白いばら」ならではの魅力や伝統を伝え続けている。現在、『キャバレーは今も昔も青春のキャンパス』(既刊2巻)を販売中。2019年8月11日には、夏のコミックマーケットで新刊『キャバレー百物語』を販売開始する。同年9月28日にはCafe EXPRESSER(下北沢)でのトークイベント『キャバレー千夜一夜(仮)』も予定されており、本の販売以外の活動も積極的に行っている。
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