「セックスの対象内」に入りたい
男というのは女を、無意識に「セックスの対象として見られるか、それとも対象外か」の2種類に分けて見ていると思うのです。まあ女もそうかもしれませんが、その「対象」かどうかは、とても小さなことがきっかけで入れ変わることがあるそうなんですね。
先日、元ホストのヒモ(私は敬意を込めて「ヒモさん」と呼んでいる)に、「私さぁ、背中の毛が気になるから全身脱毛したいんだよね~」と打ち明けてみたのです。私は背中の毛に関する悩みを告げるふりをしつつ、実は「私の背中の毛がどう見られているか」を、ちょっと知りたかった。ヒモさんの答え次第では、私がどのくらい「対象」かどうかが分かるかもしれませんし、どうすればもっと「対象」だと思ってもらえるか知りたかったんです。
ヒモさんは私の背中を見つつ、「うーん、そこまで濃くないけど生えてるね~」と返してきました。いやいや私は、そこまで濃くないというそれをきちんと処理すべきかどうか、他の女と比べてどうかを教えてほしかったのです。
元ホストのヒモさんがこれまで見てきた他の女たちと比較して、どのくらい毛が濃いとか薄いとか言ってくれれば嬉しいのに。そうやって私の「女度」を診断してくれたら、私は彼の「対象内」にいるかどうかが分かって、ナルシシズムを満たすことができるのに。
佐々木希にそっくりな女子の背中がジャングルだった
「そういえば昔、佐々木希にそっくりなお水のお客さんがいてさ」
私の思いも知らず、ヒモさんは続けます。ふぅ~ん佐々木希似の客ね、いいね美人なお客さんがいて……。
「最初、ものすごい可愛いって思ってたんだ。でも後ろ姿を見たとき、すごい背中の毛が濃くてびっくりしたの。本当に引くほど濃くて、一気にそういう対象としては見られなくなってさ。それに比べれば全然、北条さんは薄い方だよ~」
ピーーーーン!! 私のナルシシズムセンサーが反応します。毛の濃さにおいて、私は佐々木希似の夜職女性に「勝った」のです。誰もが可愛いと振り返るその客の背中を見た時、ヒモさんは一気に「そういう対象として見られなくなった」。一方、私は、その佐々木希(仮)より毛が薄い! ひとつだけ勝ってる! 嬉しい!
過去の佐々木希(仮)とひとり勝負して舞い上がる私の心など知らず、ヒモさんは続けました。
「女性って意外と、背中からどう見えるかを気にしないんだよね。お客さん見てると、ヘアスタイルも後ろから見たらペタンとしてたり、つむじが見えちゃってたりするのはよくあるし、バックスタイルって重要だと思うなぁ~」
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