自己肯定感がもてない
私は毒親育ちです。父はモラハラで母へのDVがありました。母は承認欲求が強すぎて人にすがらないと生きていけない人で、子供へのDVがありました。
家庭内のストレスで声が出なくなったことをキッカケに、心身ともに耐えられなくなり、成人後、お金を貯めてなんとか家から逃げました。その後、対人恐怖の社会性不安障害と診断され、数年心療内科に通っています。ようやく回復してきたのですが、現在32歳。
友達もおらず、家族や親戚とも疎遠な状態ですが、婚活や友達を作るための行動をしたいと思えるようになってきました。
でも私は幸せな家庭がどういうものか分からない、人見知りがひどい、人と長く付き合えない、男性がそもそも苦手で、どこから手をつけたらいいか分かりません。
ぐだぐだ考えていると、安月給ながらも正社員で働いているし、病気を抱えていてもなんとか一人で生きているし、趣味は読書で一人でいるのに慣れてしまっているしで、一人でも生きていけるんじゃ…と、何がしたいのか分からなくなってきました。アルテイシアさん、アドバイスというか喝を下さい。
(匿名希望さん/32歳)
A:喝をくださいとのことですが、なんと立派な方だろうかと思いました。ここまで本当に大変な道のりだったと思います。そんなご自身を誇っていいと思いますが、自己肯定感がもてないんですよね。私も毒親育ちだからわかるんですが、無条件に受け入れられる経験をしていないと、自分はダメだと刷り込まれてしまうんですよね。
本にも書いてますが、脳内に「大阪のおばちゃん」を飼ってください。
「あんた頑張ってるやないの、大したもんやわ」と、自分を絶対に否定せず褒めてくれる存在を脳内にもてば、自己肯定感をもちづらい人も楽になるんじゃないかと思います。
あと「何がしたいのかわからなくなってる」とありますが、自己肯定感を持てない人って、「自分はこれがしたい!」という欲求がわかりづらいんです。
親から「こうすべきだ」と育てられてるパターンが多いので、「want」じゃなくて「must」を優先する傾向にある。
H:どうしたら自分の「したい」がわかりますかね。
A:まずは思考を整理することです。
相談者さんは「ぐだぐだ考えていると」と書いてますが、現状は「考えている」のはなく「悩んでいる」状態です。考えるのと、悩むのは違います。
たとえると「部屋が汚いけど、今忙しいから掃除できないな、でも部屋汚いと嫌だな、でも面倒臭いしな~」とぐるぐるしている状態が「悩む」。
「考える」というのは、部屋が汚い原因は何か、じゃあその原因を取り除くにはどうしたらいいか、最後はどんな部屋にしたいのか、そのために何ができるのか…と計画を立てることです。
だからスピにハマる人は「明日、部屋がきれいになりますように」と願うのと同じ。いや、ならないから!部屋に“こんまり”の妖精でもいないかぎり。
(こんまり/『人生がときめく片づけの魔法』著者、近藤麻理恵さんの愛称)
H:こんまりさんの妖精がいてくれると、ありがたいですけどね(笑)
A:わが家にも来てほしいけど、無理だからねえ(笑)
相談者さんも「現状の何が不満なのか?」「どうなれば満足か?」「そのために何ができるか?」を書いて整理してください。そのときは「must」じゃなく「want」を優先してほしいです。それで計画を立てて、ひとつずつ実行していってくださいね。
H:アルテイシアさんの意見としては、まず何から始めればいいと思いますか?
A:まずはお友達をつくったらいいんじゃないかな。彼氏がいなくても生きていけるけど、友達がいないのはやっぱりさみしいから。
人見知りがはげしいなら、話し方教室やコミュニケーション講座をオススメします。そういう場所は、同じように人見知りだけど人と話したい人々が集まっているので、理解共感しあえるし、話しかけて無視されることもないから。
毒親のトラウマを解決したいなら、ACの自助グループもいいかもしれません。
トラウマを手放すには吐き出す必要があるんですよ。安心できる、否定されない場所で何度も話すうちに、だんだん「この話、自分でも飽きてゲップが出そう」って気になってきて「どうでもええわ」と親の存在が軽くなる。 まずは敷居の低い場所から初めてみて、それから趣味の読書会や読書サークルに行くのもいいかもしれませんね。
H:そうやって動くうちに、自己肯定感をもてるようになるといいですね。
アル:自己肯定感が低いと、自分を好きになってくれる人を「こんな私を好きなんておかしいんじゃないの」と見下してしまったり、自分を大切にしない、評価しない人を好きになってしまったり、恋愛でも悪循環にハマりがちなので。
ここでオススメ図書を紹介します。精神科医・水島広子さんの『自己肯定感、持っていますか? あなたの世界をガラリと変える、たったひとつの方法』です。
自己啓発本の多くは「自分を受け入れよう」「自分を愛して大切にしよう」と書いてますが、自己肯定感が低い人にとっては「自分」が一番難しい。
一方、水島さんは「他人を受け入れよう」と書いてらっしゃる。先ほども言いましたが、自己肯定感の低い人は「こうするべき」と思いがちで、それを他人にも強いてることが多いんですね。
でも「この人にも事情があるし」「事情があるけど、その人なりに頑張ってるんだな」と他人を受け入れられるようになると、自分にもそれを適用できるようになるんです。
他人を受け入れられるようになると、人間関係もうまくいきやすいし、結果的に自己肯定感も高まる…というふうに、いいスパイラルが生まれる。よかったら、みなさんも読んでみてくださいね。