親愛なるAM読者にみなさま、ごきげんよう。ものすごい愛です。
今シーズンはもはや雪害と言っていいレベルの大雪に見舞われた北海道も、ようやく春めいてきました。
すっかり雪は解けて歩きやすくなり、連日のポカポカ陽気に冬用のダウンともおさらばです。
先日住宅街を歩いていると、小学生くらいの女の子が脱いだ上着を高く掲げて「春がきたーーー!!!」と駆け抜けていく姿を見かけました。
「春ってこうやって始まるんだな」と、彼女自身がまるで春の訪れを教えてくれたようです。
前回の記事では、薬剤師を辞めたいけれど努力して国家資格を取得したこともあり、別の職種に就く自信がない女性からの相談でした。
国家資格は、「使い続けなくちゃいけないもの」ではなく「好きなようにつかっていいもの」という人生のお守りのような認識でいいのではないでしょうか。
キャリアを気にしてそれに縛られるよりも、職種に囚われずに自分自身が健やかに生きられる選択をしてほしいと思います。
10年続けた婚活を休む覚悟がない
【相談】
もう10年以上、婚活をしています。 婚活パーティー、マッチングアプリなどありとあらゆる婚活は試し、最近は結婚相談所にも入りましたが今のところまったく成果は出ていません。もちろんダイエットなど、できる限りの自分磨きもしています。 そんなタイミングで、家庭の事情で数ヶ月後、遠くに移住することになりました。この数ヶ月間を、どう過ごしたらいいんだろうともやもやしているんです。
今住んでいる場所で、もしいい人が見つかっても数ヶ月後には移住のため離れなくてはいけない。かと言って数ヶ月何もしない間に私は歳を重ねてしまうという恐怖もある。マッチングアプリなどで移住先の人を探す手もありますが、いつかは地元に戻ってきたいという気持ち、そして移住するのが数ヶ月後という中途半端さもあり踏み切れません。一生懸命10年も活動して何もなかったのに、数ヶ月くらい、とは思えず無為に過ごすことにすごく抵抗があります。じゃあ何をするのが一番自分が納得できるのか?が自分でもわかりません。よかったらアドバイスいただきたいです。(40歳)
わたしの周りにもマッチングアプリで婚活をしている友達が何人かいるのですが、彼女たちからは「婚活、思ってた以上にしんどい」といった話をよく聞きます。
年齢的にもそれなりに責任を求められる立場になった今、毎日仕事でクタクタになって帰ってきたところに「疲れた……でも返事はしなくちゃ……」と必要に駆られてメッセージの内容に頭を悩ませたり。
家でひとりのんびり過ごす、もしくは気の置けない友達と遊んでリフレッシュしたいたまの休日も、初対面の人と会って気疲れしたり。
素敵な人と出会えても上手くいかないことも多く、時には「自分ってダメなのかな」と落ち込んだり。
一定期間努力をすれば成果が出るとわかっているのなら「よし! 今だけ力入れて頑張るか!」と思えるものの、結婚できるという確証がないのが婚活の厄介なところ。
モチベーションを保ちつつ継続するというのは、なかなか骨の折れることだと思います。
だからこそ、あなたは「一度婚活を休んでしまうと、もう頑張る気力がわかないかも……」と不安に思っているように感じたのですが、いかがでしょうか。
すでに日常の一部として組み込まれていること、それも決して楽しいことばかりではない、なんならしんどいとすら感じていることを一度辞めてしまうのは、きっと勇気のいることでしょう。
英気を養うためのお休みを
あくまでもひとつの提案として耳を傾けてほしいのですが、とりあえずは移住するまでの数か月間、婚活をお休みしてはいかがでしょうか。
抵抗があるのは、重々承知しています。
どうして一時的にお休みすることをおすすめしているのかというと、また頑張れるよう英気を養ってほしいから。
婚活で避けては通れない、ジャッジする/されるコミュニケーションは、たとえ無意識的だとしても相当しんどいと思うのです。
将来を見据え、共に生涯を歩んでいく相手に対しては、おそらく細かい部分までチェックしてしまうでしょう。
友達関係を経て、徐々に距離が縮まって相手のことを知っていく……そんな風に時間をかけて段階を踏んでいくことは、焦っていればいるほどもどかしいでしょうし、おそらく友達関係を築いていく場合とは違って精神的にも前のめりになるはず。
「すごくフィーリングが合うし一緒にいると楽しいけれど、でも相手の両親と同居必須かぁ」「とても優しい人柄のうえに年収も申し分ないけれど、食事のマナーが気になるな……」など、逐一自分の中で「これは許容範囲か否か」と確認してしまうのも、「結婚後に改善しそうか、もしくは慣れることができそうか」とシミュレーションをするのも、とても消耗すると思います。
中には、ふとした瞬間に「いやいや、わたし自分のことを棚に上げちゃってない?」と心のどこかで罪悪感が生まれることもあるかもしれませんね。
また、常に自分がジャッジする立場でいられるとは限らず、自分がジャッジされる側にまわることもあるでしょう。
たとえ直接的に「あなたはここがダメ」と言われなくても、相手の乏しい反応やフェードアウトされそうな空気を感じるたびに、自己評価も下がっていく。
「ご縁がなかった」「たまたま相性が合わなかっただけ」といくら自分に言い聞かせて納得しようとしたところで、「わたしってそんなにダメな女なの?!」と思わずにいるのは難しいものです。
あなたは婚活を休む期間を“無為”だと表現していますが、わたしはそうは思いません。
誰のこともジャッジしない、誰からもジャッジされない時間はとても大事だと思います。
ダイエットや自分磨きを長く続けているのはとても立派ですが、誰かに評価されるためじゃなく、それを自分のためだけにやることも時には必要ではないでしょうか。
仕事だって、休みがなければ体調が悪くなりますし、メンタルもグズグズになりますよね。
自分がどれだけ疲れていて、どんな癒しを求めているのか、置かれている環境のおかしい部分はどこなのか、自分は何を頑張ればいいのかが、わからなくなってしまいます。
婚活も、それに通ずる部分があるはずです。
休むのも仕事のうち、休むのも婚活のうち、とわたしは思います。
どうなっていくか分からない部分で選択肢を狭めないで
今回、あなたの一番目標とすることが結婚という前提で話を進めていきますね。
どういった理由で遠くへ移住するのかは書かれていないためわかりませんが、現時点で移住は決定事項であり、「いつかは地元に戻ってきたい」と希望していることから、家庭の事情がひと段落つけば地元に戻ってこられる可能性がある、もしくは何か人生における大きなきっかけがあれば地元に戻ってこられないこともない、といったところでしょうか。
ただ、どうやらいつ戻ってこられるか時期の確証はないようです。
おそらくあなたの理想とするところは、移住先で素敵な人と出会えて、なおかつあなたが地元に戻ってこられるタイミングで快くついてきてくれる人なのかな、と想像したのですがいかがでしょうか。
もしそうだとしたら、正直なところ結構難しい条件のように感じます。
移住先でも婚活する場合、「いつか自分の地元に一緒に戻ってくれる人」と第一条件に掲げていてはそれに当てはまる人は少ないでしょうし(全くいないことはないとは思いますが……)、「いつか地元に戻りたいんだよなぁ……」という気持ちを持っているとなかなか身が入らないのではないでしょうか。
わたしはあなたに、選択肢を狭めないでほしいと思います。
この選択肢というのは、結婚相手の条件を下げるという意味ではありません。
それぞれ、結婚相手に求める条件はありますよね。家事が得意な人がいいなとか、アウトドアが趣味だから一緒に楽しめる人がいいなとか、それはそれとして持ち続けていいと思います。たくさんと人と出会って、歳を重ねるにつれて希望の条件も変化していくこともあるでしょうしね。
わたしがお伝えしたいのは、将来どうなっていくかわからない部分については、現時点で除外しないほうがいいんじゃないかな、ということ。
今回のあなたに言えるのは、相手の居住地について。
わたしとしては、移住までの期間は一旦婚活をお休みして、移住して落ち着いてから再開してはどうかと先に提案した通りなのですが、移住までの数か月を何もせず過ごすことで感じる恐怖はあなただけのものですから、休まずに継続したいのであればそれはそれで否定はしませんし、応援もしたい。
でも、もしそうするのであれば、今の居住地で素敵な人と出会えたら「数か月後に遠くへ移住するから無理だな」と諦めてしまうのではなく、「遠距離恋愛上等!」の精神でいてほしいと思います。
また、移住先で素敵な人と出会えたときに「いつか地元に帰りたいから、ここで永住するつもりの人はちょっとな……」と尻込みするのではなく、「ここにずっと住むのも意外と楽しいかも!」と前向きに捉えたり、「ええい! いつかわたしの地元に連れて行ってやるぜ!」といった強い心持ちで恋愛を進めることをおすすめします。
もしかしたら、移住前に出会った人が距離なんてなんのそのでマメに会いに来てくれる人かもしれないし、「会社の支社がそっちにあるから転勤願いを出すよ!」とフットワークの軽いタイプかもしれません。あなた自身が移住先を気に入って永住していいと思えるようになっているかもしれませんし、移住先で出会った人があなたの地元を気に入ってくれるかもしれません。
この先どうなるかわからない部分、なんなら相手のことが好きだったらどうだってよくなる部分で、今から選択肢を狭めてしまうのはもったいのないことだと思うのです。
未来の自分が納得できる材料にする
あなたが望んでいた通りの人に出会えて、結婚できたとしても、不測の事態というのは十分にあり得ます。
結婚後に相手の仕事の都合で縁もゆかりもない土地へ転勤するかもしれない、価値観がガラリと変化して海外への移住を検討するかもしれない、どちらかの親が急に介護が必要になって住む場所を選べる状況じゃなくなるかもしれない、共に生活していくうちに相手が専業主夫になったほうがいいという結論になるかもしれない……絵空事のように聞こえるでしょうが、可能性はゼロではないはず。
そういった、今は考えつかないような事態に陥ったときのことを想像すると、話し合いができる人、どうするのがお互いにとって最善か一緒に考えられる人、たとえ意見が対立してもお互いの中間地点を模索する作業を面倒くさがらない人が、やっぱり一番よいと思うのです。
だから、今あなたが婚活を続けるうえでひとつのネックとなっている「相手の居住地」の優先順位を下げてはいかがでしょうか。
時には、そういった潔さも大事。
それによって、少なくともあなたが今一番どうしたらいいか戸惑っている原因は解消されるのではないでしょうか。
何事においても、現在進行形で起きているイベントに対して、心から納得するのはとても難しいことだと思います。ひとつ納得できる部分があっても、そのもう一方では諦めていたり、「自分は納得しているはずだ」と自分に言い聞かせたり。
それでもわたしはあとから振り返ったときに未来の自分が納得できていればいいんじゃないかな、と。
たとえ当時の自分が納得できていなかったとしても、どうにかこうにか折り合いをつけながら、否が応でも前に進まざるを得ないことばかりです。
現実を受け入れるために一懸命に悩んだかつての自分や、それを見ていてくれた周りの人から「あのとき、すごく頑張ってたよね」という言葉、あのとき求めていたものではないけれど別のもので満たされた未来の自分、そういうものたちによって「きっと悪い選択じゃなかったんだな」と思えるのが最善だと思うのです。。
だから、「この数か月間をどう過ごせば自分は納得できるのか」と考えるのも必要なことかもしれませんが、それだけじゃなくて今一生懸命悩んでいる自分自身のことをあとから思出せるようにしておいてほしい。
きっと、未来のあなたが自分を認めるための材料になるはずです。
10年間、ひとつの目標に向かって努力を続けているあなたは、とてもかっこいいと思います。
このわたしの言葉も、いつか思い出してくれるとうれしいです。
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日頃からご愛読してくださっているみなさん、そして相談を送ってくださるみなさんのお陰で『命に過ぎたる愛なし』も連載100回を迎えることができました。
まさかこんなに続けさせていただけるとは……! ほんとうに、ありがとうございます。
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そこで、連載100回を記念して、オンラインイベントを行います。
題して『ものすごい愛のオンライン相談室 』。
Twitterのスペース機能を使い、みなさんからの相談にお答えします。
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詳しい内容や日程、参加方法はTwitterにてまた追って告知します。
たくさんのご参加、お待ちしております。
Text/ものすごい愛
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