東京と地方のギャップ
現実的な話をさせていただくと、東京から地方への移住はギャップを感じることが多いだろうな、と地方出身のわたしは想像できます。
食習慣や気候の違いはわりと想像しやすいと思いますが、それ以外に細かい部分、いくつか例を上げると生活の些細な部分での利便性や選択肢の数、様々な文化における発展具合、人との関わり方、新しい価値観への柔軟性なんてのは、東京と地方とではまるで違います。
生まれも育ちも東京の人はおそらくわからないと思うのですが、地方出身者からしてみるとそれはとても顕著なのです。
もちろん、中には東京よりも田舎の自然や不便さ、特有の人間関係のほうが好きだという人もたくさんいると思いますが、東京の魅力を享受してきたタイプのあなたからしたら、移住してから生活の端々で「えっこれって当たり前じゃなかったの!?」とギャップに戸惑う場面が多いかもしれません。
将来的に子供を持ちたいと思っているのなら、それこそ自分の親が近くにいればサポートを望めたり、子供の教育を考えたら東京のほうが充実しているというメリットもあるでしょう。
だからこそ、今の環境や東京の魅力を大きく凌駕するほど彼と一緒にいたいという気持ち、そして結婚への熱量がないと福岡への移住は厳しいものだと思います。
今抱えている不安の種類を明確にする
東京を離れたくない、だって地元だし親も友達もいるし便利だし……」というあなたの事情や感情だけではなく、具体的な将来の計画を共有し、福岡での暮らしを、この先の人生を彼と“一緒に”想像することが、今のあなたたちには必要なのだと思います。
相談文には書かれていないだけかもしれませんが、現時点であなたは福岡での生活を想像することや、移住に前向きな気持ちになるための行動はしていないように感じました。
まずは最低限、福岡のことを知ろうとしてみてはいかがでしょうか。
あなたが知らないだけで、福岡にも楽しいことはたくさんあるでしょうし、東京にはないメリットもあるかもしれません。
福岡は全国的にも家賃が安い地域ですし、東京に比べたら物価もやすい。
ごはんもおいしいことで有名で、おそらく通勤ラッシュを味わうことも今より格段に少ないでしょう。
これらはあくまでもわたしが今パッと出した一例に過ぎませんから、自分で調べるなり、彼に教えてもらうなり、コロナの状況を見計らって実際に行ってみるなりしてから、決断しても遅くはないはずです。
先で少し触れましたが、今抱えている不安の種類は明確にすることをおすすめします。
新しい土地に馴染めるのか、知り合いがいなくてやっていけるのか、という環境が変わることへの漠然とした不安なら、そこまで心配しなくても大丈夫だと思います。
知らないものを受け入れようという姿勢や能動的に行動することによって、徐々に解消されるものだと思います。
「彼は地元だから自分を差し置いて楽しく過ごすんじゃないか」「東京を離れた自分の気持ちに寄り添ってくれかったらどうしよう」「福岡で暮らした場合のビジョンがはっきりしてなくて決断できない」といった不安なら、彼と話し合ってその溝を埋めたほうがいいと思います。
もちろん結婚は愛があってこそなんですが、それだけじゃ生活はできませんし、自分の人生を彼にベットする気にもなれませんよね。
経済的なこと、親族との付き合い方、どのくらいの頻度で東京に帰省できるのか、もし子供を持つことを考えているのなら妊娠中はどういうサポートを考えているか、子供にはどういう教育を受けさせたいか、知らない土地に移住した自分にどういうかたちで寄り添ってくれるのか、自分のキャリア維持に関してどう考えているのか、移住先での彼のプランを聞き、自分の不安を聞いてもらうことで、今悩んでいる場所からは一歩先に進めるのではないでしょうか。
そのうえで、「ええい! 東京を離れるのは寂しいし不安だけど、もう福岡に行ってしまえ! なんだかんだ暮らしてみればどうとでもなるだろ!」と勢いがあるのなら、大変ながらも上手くやっていく方法を模索しつつ案外やっていけると思います。
案ずるより生むかやすしとも言いますしね。将来の展望を共有し、相手の不安に寄り添っているのなら、きっとあなたたちはどこでだって上手くやっていけるはずです。
しかし、それでも前向きになれず、少しでも「やっぱり東京じゃなきゃ無理」と思ってしまうのなら、福岡行きはやめたほうがいいかもしれませんね。
先入観を取っ払えず、不安や不満を抱いたまま移住しても、楽しい生活は訪れないでしょうから。
最後に、今回彼と別れることを決断したからと言って、「東京を離れたくないという理由で別れるなんて、実は彼のことがそんなに好きじゃなかったのかも……自分は冷たい人間なのかも……」なんて自分を責めないでくださいね。
あくまでも結婚はゴールではなく、新しい生活の始まりなのです。
誰とどんな環境でどういう風に生活をしていきたいか、なにを選ぶのが自分にとって一番の幸せなのかは、人それぞれ異なり、どれも重要な決め手となるのですから。
Text/ものすごい愛
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