恋人に別れを告げられないときはハプニングバーに行くのも一つの手

恋人に別れを告げるのって、難しくないですか。同じ部屋の空気を吸っていたくないほど嫌いになっていたならば清々するばかりで惑いも沸かないし、別の人を好きになってしまってそちらに移行できる手筈が整っていれば、未来への光明が背中を後押してくれる。

けれども大概の場合は多少の未練がある状態というか、性格や休日の過ごし方やセックスの嗜好や性欲の強さや政治的主張や将来のビジョンといったもののうち、いずれかは合わないけれども、それ以外に文句はなかったりする。さらには別れて独り身になる寂しさや、次に恋人が出来るかどうかの不安、新しい出会いを探す億劫さなどがあり、考えれば考えるほど「我慢できないわけではないし」とついつい思い迷ってしまう。

「妥協して付き合いつづけるなんて人生の無駄であるから、少しでも違うと思ったら、別れて新しい人を探したほうがいい」というきっぱりした人のことが、心から羨ましいと思いつつも、わたしは恋人と別れたい/別れたほうがいいと思っても、デモデモダッテと迷ってしまう性質です。さらには、ようやく決意を固めて別れを告げたというのに、「別れたくない」とゴネられると「そこまでしてわたしと付き合っていたいのならば……」となし崩しにされてしまう、押しの弱い側面まで持っている。「いらない男は常に断捨離!」みたいな強いメンタルが欲しいと常々思ってはいるものの、なかなか未練を断ち切れない軟弱なハートの持ち主なのです。

恋人になかなか別れを言い出せなかったとき…

かつて付き合っていた、とある男性との関係が煮詰まったことがありました。会えば喧嘩ばかりで、セックスもさして盛り上がらない。でも、「喧嘩することもあるけど、めちゃくちゃ気があう部分もある」「セックスをしてもものすごくは興奮しないけど、それなりには気持ちがいい」ということで、なかなか別れを言い出せずにいたのです。

そんなある日のこと。新宿のカップル喫茶に潜入し、レポート記事を書くという仕事のオファーが入りました。カップル喫茶とは、基本的にはカップルで入りスワッピングや相互鑑賞を楽しむお店です。編集者に詳細を尋ねると、現場で必ずセックスをしなくてはならないというわけではなく、したければしてもいいし、しなくてもいい。ただ、実際に実地に足を運んで中の様子や人々の行動をレポートしてほしいとのこと。