原因を究明することばかりが最適解ではない

さて、ここまでわたしはあなたが抱えているモヤモヤを半ば勝手に想像し、片っ端から分解してきました。
もしかしたら、「そんなこと思ってない！」「モヤモヤの正体はそれじゃない！」と間違っている部分もあったかもしれません。
こういう風に言うと相談を受ける人間として無責任だと思われてしまうかもしれませんが、わたしはそれでいいと思っています。

相談文を読ませていただきましたが、あなたは「モヤモヤする」「思い出すとつらくなる」という感情の大枠で完結していて、どうしてモヤモヤするのか、どうしたらそのモヤモヤは解消されるのかまで、考えが至っていないように感じました。
一度、ご自身でそこまで深く掘り下げて考えてみてはいかがでしょうか。

あなたは自分のことを「周りがよく見える分、周りと比べて落ち込んでしまう」と分析されています。
そういう側面もあるとは思いますが、加えて悪い方向に捉える傾向もあるのではないでしょうか。

厳しいことを言うようですが、悪い方向にばかり捉えてしまうこと、思考が粗さがしに向かってしまう人のことを、“周りがよく見える”とは言わないと思います。
おそらく、あなたは先輩と上司が周りを気にせず好き勝手に振る舞ったことにより、物理的にしわ寄せがきているのも相まって、自分が蔑ろにされているように感じているのではありませんか？
しかし、誰かを恨んだり妬んだりしたところで、あなたのモヤモヤが晴れて楽になれるわけでも、今悩んでいるその癖から救われるわけでもありません。
先にもお話ししましたが、たとえこれまで仕事で関わりがあったとはいえ、先輩も上司もあなたとはもう関わりのない存在。
自分の人生に関係のない人のために、時間や感情を割くのはとてももったいないことではないでしょうか。

大事なのは、あなたは誰に理解されたくて、誰を理解したいかです。
もちろん、何事も相手の立場になって物事を考えることは必要ではありますが、自分と他人の区別をしっかりしたうえで「自分には自分の、人には人の事情と価値観があり、別の人生として存在している」という認識を持っておくことをおすすめします。
そうすれば、他人を羨む気持ちや、自分を卑下する感情が生まれにくくなるはずです。

一度抱いた負の感情を長い期間引きずるのは、とてもしんどいことだと思います。
今回のことに限らず、ご自身で“癖”だと言われていることからも、もしかしたら別の部分で同じような経験をされてきたと推察します。
自分と他人を区別すること、どうしてモヤモヤしているのかの理由を掘り下げること、そしてどうすればモヤモヤが晴れるのかを考えてみること、これらをやってみても癖というのは簡単に治るものではありませんから、すぐには晴れやかな気持ちになれないかもしれません。
こういうときの対処方法として、わたしがあなたにおすすめしたいことがあります。
それは、モヤモヤが顔を出し始めたらそれに力ずくで蓋をして、無理矢理に思考回路を変えること。
なんだか荒療治で根本的な解決につながらないように思われるかもしれませんが、案外「考えるのを辞める」って大事なんです。
いくら考えても結論の出ないこと、どんなに悩んでも解決しないことというのは、今考えるべきタイミングではないものなのです。
現時点では解決するための判断材料が足りず、むしろ考え過ぎて悪い方向に偏って堂々巡りになってしまいます。
ですから、「先輩はどうして上司と結婚したんだろう……」「結婚式、数合わせだったんだよなぁ……」などと、なんだかモヤモヤし始めた瞬間に「あーーー！！！　やめ！！！　考えるのやめ！！！　かわいい猫の動画観よ！！！　昨日観ておもしろかったバラエティのあのシーン思い出そ！！！」と力ずくで思考を切り替えてみてください。
そうすると、モヤモヤする頻度が減ったり、ふと冷静になれることで次に思い出したときにまた違った目線で考えられたりして、徐々に気持ちが楽になっていくはずです。

自分のモヤモヤにきちんと付き合ってあげて、その原因を究明することばかりが健やかな暮らしの最適解ではないこともたくさんある、ということをぜひ覚えておいてください。

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この連載では引き続き読者の皆さまからの恋愛相談を募集します。
最後の一歩が踏み出せない方の背中をドーン！と押すため、今にも崖から落ちそうになっている人を腕一本で引き上げるため、誰かに厳しく叱られたい方の左頬をフルスイングで打つため、わたくしポジティブゴリラは日々ゴリラらしく腕力を鍛えてお待ちしております。

Text／ものすごい愛
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