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育児に対する正しい知識を

Cleo こんなパパ最高!!!「Cleoのミッションは家族同士を繋ぎ信頼を築くのをサポートし、育児という旅をする彼ら・彼女らを導くこと」(Cleoの公式Webサイトより) 

Cleoのサービスは企業の福利厚生として法人向けに提供されている。既にPinterestやSlack、Reddit(巨アメリカ版2ちゃん的な巨大掲示板)にBox(オンラインのコストコとも呼ばれるeコマース)など多くのシリコンバレーのテック企業で採用実績があり、Forbesによると2018年の時点でユーザーは約50万人、利用者の居住エリアは50か国に渡るという。

また、例えばBoxでは登録者の40%が父親だという。同アプリを通して育児に対する正しい知識を得られることで当事者であるという意識が芽生え、「育児は夫婦二人で行うもの」というイメージをよりはっきり持てるようになっているそうだ。「育児において、その分野のプロと繋げてくれるところがよい。例えば『立ち合い出産で夫がするべきことは』などは非常に役に立った」と同社の社員からは好評が寄せられている。

さらに出産休暇前や育児休暇を終えて職場に復帰する際に受けられるカウンセリングは、職場復帰に際しての不安を拭ってくれると大きな人気だという。

オンラインカウンセリング オンラインによる育休復帰前のカウンセリング

また同時に、企業側に対するサポートも提供している。大企業や老舗企業だと世代間で育児に対する意識が異なるため、Cleoは管理職向けに休暇を迎える社員のサポートや休暇から戻る社員の受け入れ方法に関する教育、さらに性バイアスや家族の多様性といったテーマに関する情報も発信している。

現代の家族の形にフィットした”社会ぐるみのサポート”を

同社の調べによると、アメリカで子育て世代のボリューム層を担うミレ二アル世代(今年24歳~39歳になる世代)は、企業を選ぶ際に給料よりも福利厚生を重視し、その内容も家族に関するベネフィットを充実させているものに魅力を感じるのだという。またCleoを導入している企業は、休暇明けの社員の復帰率が同国の平均に比べて圧倒的に高いデータも出ており、人材を確保するのにも一役買っているのだとか。そうした従業員と企業双方にもたらされるメリットからCleoはグローバルで支持を獲得しているのだろう。

近年、不妊治療や卵子凍結サポートを福利厚生として提供する企業も増えてきており、例えば卵子凍結を福利厚生として導入したFacebook社はその後、女性社員のエンゲージメントが増加したというデータも発表している。日本でも企業の福利厚生としての卵子凍結を根付かせるべく活動する「Stokk」などプレイヤーが増えてきていており、この分野に対するニーズは今後も増えることが予想される。

「昔は社会ぐるみで子どもを育てていた」という言葉も聞かれるが、核家族化が進み当時と家族の定義が大きく変化しつつある現代では、違った角度からのサポート体制を整える必要がある。現代の家族の形にフィットした“社会ぐるみのサポート”が受けられるCleoのようなサービスは、社会全体がライフイベントとキャリアの両立を模索している中、求める声は大きいのでないだろうか。

パートナーテックという観点で世界のテクノロジーを紹介する本連載だが、Cleoに関してはパートナー間の問題を越え、企業をも巻き込んだアイデア。企業側の育児に対する理解を促進することは、家族のクオリティオブライフを向上させることにもつながるのではないかと思う。

Text/橋本沙織

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