30歳を過ぎるといい感じに肩の力が抜ける

――ちなみに、小さい頃はどんな漫画が好きだったんですか?

まんしゅう

確か、初めて買った漫画は『Dr.スランプ』で、小学生の頃は『ときめきトゥナイト』が好きでした。
でも、なんといっても中学生でドハマリしたのが、明智抄先生の『明朗健全始末人』から始まる始末人シリーズ。これ、本当におもしろいから読んでみて! それと、高校生になって漫☆画太郎先生の『珍遊記』と出会った衝撃も忘れられないですね。
明智抄先生と漫☆画太郎先生が、今のわたしの核になってると言ってもいいです(笑)。

――その後、「30歳になったら終わり」という焦りからは抜け出せたんでしょうか。

まんしゅう

うん、当たり前だけど、30歳になっても全然終わりじゃなかった。実際に30歳を過ぎてみたら、いい意味でのあきらめが湧いてくるんですよ。
今まで変に力んでた肩の力が抜けて、いい感じにうまく調和がとれるというか……いや、わかんない、すごい今あてずっぽうで、口からでまかせ言ってるけど(笑)。

――でも、気負ってた肩の力が抜けるというのは、なんとなくわかります。それからなんやかんや苦節10年。ようやく初単行本を刊行して、肩の荷が下りた感じはありますか?

まんしゅう

一時期は「わたし、このまま漫画家になれないかも…」と思ったら、大好きな漫画も読めなくなっちゃったことがあって。
あのままデビューできていなかったら、わたし、あきらめきれずにずーーっと引きずっていた気がするんです。40歳の遅咲きですけど、今回こうやって単行本を出せて、やっと成仏できた気がしますね。

――まあでも、デビューできたからこそ、そのプレッシャーからアル中になってしまうわけですけど、その話はまた次回ということで(笑)。

Text/福田フクスケ

※2015年5月15日に「SOLO」で掲載しました