つらいときの逃げ道は、複数用意しておこう
――とはいえ、“結婚をするのが普通”という価値観を身に付けてしまっていると、自分の中に強い主義や思想がないと、独身でい続けるのはつらい気もします。
- 鈴木
-
主義があってもつらい夜はあるし、主義がなくても楽しい夜はある。確かに、一人だとつらいことがあったときに自分に直撃しやすいというリスクはありますけど、だったら女同士でルームシェアして住んだりすればいいんじゃないですか。
ひとりでいると、ついかけてはいけない人に電話をかけてしまいそうになると思うので(笑)、そういうときは友達の家に泊まるとか、カラオケに行くとか、つらさを紛らわす行為は幅広く持っていたほうがいいですね。
――何かひとつ拠り所があるだけでは、だめなんですか?
- 鈴木
-
逃げ場をひとつに絞ると、それに依存してしまうので危険なんです。ホス狂いがみんな病んでしまうのは、ホストしか依存する先がないからなので。
ちなみに私は、このまま何もしないでいると泣く…というときは、『すべらない話』のDVDをずっと流してますね(笑)。高尚な趣味である必要は全然ないので、これやってればとりあえず3時間つらいのを我慢できる、みたいなものをいくつか持っておくと、武器になると思います。
第3回「結婚しないことに理由や責任を求められても困る」に続く
Text/福田フクスケ
鈴木涼美(すずき・すずみ)
慶応大学環境情報学部卒。東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。自身のAV女優経験をきっかけに執筆した修士論文が、『「AV女優」の社会学 なぜ彼女たちは饒舌に自らを語るのか』(青土社)として出版される。日経新聞の記者として5年半勤めたのち、文筆家として独立し、『身体を売ったらサヨウナラ 夜のオネエサンの愛と幸福論』(幻冬舎)を出版。現在は、TVブロス、幻冬舎plusなどに連載中。 Twitter:@Suzumixxx
※2015年5月9日に「SOLO」で掲載しました