恋愛関係をもとに結婚生活を築くのは無理がある/インタビュー(2)

 東大院卒の元日経新聞記者で元AV女優という異色の経歴が、週刊誌でセンセーショナルに取り上げられた文筆家の鈴木涼美さん。女性の抱える多面的な欲望や生き様を、疾走する文体で綴った著書『身体を売ったらサヨウナラ』も注目を集めています。
そんな彼女に、女性の枷ともなっている“結婚”という制度との向き合い方、結婚しない“おひとりさま”の生き方について、全4回にわたって伺いました。

第1回【「諦める才能」のある人だけが結婚すればいい】はこちら

恋愛で好きになった人が、結婚向きの相手とは限らない

鈴木涼美 ©宮本晶比古

――前回は、現在の結婚制度において、女性は諦めなければいけない自由が多すぎる、というお話を伺いました。それならば、自分の自由を尊重してくれる人や、生き方を理解してくれる人と結婚すればいいのではないでしょうか?

鈴木涼美さん(以下、敬称略)
たしかに、結婚のために何かを諦めるのではなく、自分の自由のために結婚生活のほうをデザインする人も、最近は増えてきていますよね。
たとえば、バリバリ働く管理職や経営者の女性が、年下で家事をしてくれる専業主夫の男性と結婚したり、中村うさぎさんのようにゲイの男性と結婚したり、別居婚や違う国に住んだりする人もいる。
彼女たちは、自分の生活や人生のために結婚相手を選ぶ視点を持っているので、自分に有利なように結婚生活を作っていけるでしょう。

 でも、私も含めて恋愛体質の女の子には、それができないんですよ。結婚するとしたら、好きな相手、惚れた相手としたいと思っちゃう。
だけど、恋愛って結婚向きの便利な人を好きになるわけじゃないですよね。どんなに条件がよくて、自分の自由を尊重してくれる人がいたとしても、その人を好きになるとは限らない。たとえ「結婚したらずっと家にいて料理を作ってくれ」という家父長制の権化みたいな人でも、惚れてしまったらその人と一緒にいたいと思ってしまうんです。

 恋愛と生活は角逐する矛盾したものなので、恋愛体質の子には、自分が思う通りの結婚生活を構築するというのは難しいと思います。

恋愛感情をもとに結婚するのは、無理のあるねじれたシステム

――つらいと思いながらもヤリチンや浮気性、ヒモ、DVの男を好きになって抜け出せなくなってしまう女性が多いように、恋愛感情って理性の言うことを聞いてくれないものですよね。

鈴木
結婚という基本的には壊れないことを前提としたパートナーシップ協定が、恋愛というもっとも不安定な感情をもとにした人間関係から構築されているねじれは、すごく感じます。
結婚が、もっとビジネスパートナーくらいの感覚で、生活する上で信頼できそうな相手を選ぶ制度だったら、私もしていたかもしれないけど。

 でも、異性を前にするとどうしても恋愛や性愛の対象としてどうかという目で見てしまう。
恋愛結婚がスタンダードとされる世の中で、結婚は愛の結晶というイメージがある以上、全然タイプじゃない人とは結婚したいと思えないんですよね。