決断するリスクとしないリスク
「何が食べたい?」「何がしたい?」「どこに行きたい?」「付き合う?」「キスする?」「セックスする?」こちらの意思を一つ一つ丁寧に確認してくれる誠実な男性を、私たちは本当に選べるのか。
恋愛工学、うまくできてるな、と思うにつけ、私にはなんだか試されているようにも感じられる。
優しい男性を、優しいだけの男性にしないでいられるのか。自分にしてほしいと願うように、相手を相対的でなく、絶対評価できるのか。どうせできないでしょ? と言われているような気になるのである。
不特定多数の女性とセックスすることをゴールとしている恋愛工学を不誠実と非難するのは容易いことだけれど、それならば同時に、自分がどんな人と、どんな恋愛をしたいのか。そんな自分の理想に対して、自分がどこまで誠実でいられるのかということを考えてみるべきかもしれない。
決断を下すリスクと決断を手放すリスクは絶えず同じ天秤にのっかっていて、どう見積もるかは全て私たち次第だ。
Text/家入明子
※2015年7月31日に「SOLO」で掲載しました