“天才たち”のルーティーンとは?
『天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々』 という本を、読んだことがある人はいるだろうか。映画監督のフェリーニから作家のヘミングウェイ、作曲家のモーツァルトまで、さまざまな“天才たち”の日々のルーティンや、生活習慣などについて書かれている本だ。私は3年前くらいにこの本を読んだのだけど、今回扱いたいのは、これの続編である『天才たちの日課 女性編 自由な彼女たちの必ずしも自由でない日常』 。なんでも、前編である『天才たちの日課』で取り上げた161人のうち、女性が27人しか含まれていなかったことを著者のメーソン・カリーが反省し、その補正版としてこの『天才たちの日課 女性編』を出版するに至ったのだとか。
男性の著名人に比べると女性の著名人はいまいち耳慣れない人が多く、私も、この本に出てくる大半の女性作家やアーティストを知らなかった。が、それは些細なことで、女性編も前編と同様に面白い。というか、男性が多い前編や、巷でよくある自己啓発系の時間術の本は「家事やら育児やらは誰がやるねん!」と思わず突っ込みたくなってしまうものが少なくない。妻に全部丸投げできる既婚男性用でもなく、収入がたっぷりある独身男性用でもなく、家事と育児と仕事をすべてやらなければならない現代女性&男性、そしてあまり収入が多くない独身女性のための習慣術、時間術。『天才たちの日課 女性編』は、そんな普通の人のための本なのである。
大人は常に体調が悪いし、基本的にやる気がない!
さて、本書の内容に踏み込む前に、この本に登場する女性著名人と比べるとぜんぜん何も成し遂げてないけど、私の日々のルーティンを紹介させてもらいたい。まず朝起きるのは、通勤時間がなくなったこともあり最近は9時前後。そこから1時間くらいかけてコーヒーを準備したり洗濯をしたりして、だいたいいつも10時くらいから仕事を始めている。といっても、最近の私はなぜか起きてから5〜6時間は頭がぼんやりしており体調が悪く、15時くらいまではごくごく単純な作業とメール返信しかできない。お昼ごはんは12時前後に食べて、食後の20分~1時間は必ず昼寝をしている。15時くらいにやっと頭が少しすっきりしてやる気が出てくるので、たとえばこの連載の原稿とか、多少なりとも頭を使う作業はだいたい15時以降にならないと始められない。そこから夕方、長引くと夜の23時くらいまでずっと仕事をして、23時にようやく作業を終えてお風呂に入る……といった感じだ。えーと、なんだか不健康極まりないというか、まったくもって効率的ではない恥ずかしい日々である。
たぶん多くの人が共感してくれると思うけど、頭がすっきりしていてやる気が漲っている日なんて年に数回あるかないかで、大人はいつもどこかしら体調が悪いし、基本的にやる気がない。考えなければいけないのは「どうやってやる気を出すか」ではなく、「やる気がないなかでいかにやるか」だ。『天才たちの日課 女性編』に登場する女性著名人も、家事や育児でしょっちゅう仕事を中断しなければならなかったり、あるいは金銭的な制約から健康的とはとても言えない食生活や住環境などを強いられていた。恵まれた環境が与えられていて、常にやる気が漲っていたなんて人なんてほとんどいないのだ。
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