変わることを躊躇しない、ポジティブな私
一方、すべての男性がそうであるとは決して思っていないけれど−−−−柚木麻子さんの小説『BUTTER』を読んでいると、“そのままの私”の範囲がとても狭くて、頑なに変わろうとしない男たちに、ちょっと腹が立ってくる。
『BUTTER』にはあの「婚活連続殺人事件」で世間を震撼させた木嶋佳苗がモデルになっている梶井真奈子という女が登場するのだけど、この梶井のまわりで死んでいった男たちは、とにかく「変わろうとしない男」なのだ。
清潔感のない外見のままで、掃除もしない、料理もしない、相手を喜ばせるために提供できるものがお金しかない。ただ母親のように、自分の身の廻りを(セックスも含めて)ケアしてくれる女性を求めている。“そのままの私”の範囲がここまで狭いと、信頼できるパートナーが現れないのもそりゃしょうがない。
人間には、絶対に変えたくない・変えなくてもいい「核」の部分と、どんどん変化していってもいいその周辺の部分がある。どこまでを“そのままの私”と認識しているかは個人差があるし、正しい解答はないけれど、私は周辺の部分も含めて“そのままの私”だと考えているんだよね。だから、変わることを躊躇せずに、でもやっぱり「そのままの私を好きになってくれる人」と結ばれてほしいと、女性に対して思うのだ。
“そのままの私”とは、朝起きたばかりのボサボサ髪の私だけではなく、その周辺も含めた楽しくポジティブな私のことだ。
ま、そういうわけで、たまにはタルトでも焼きますかね。お菓子作りってそんなに好きじゃないから、日常的にはやりたくないんだけど、ごくごくたまにやるぶんには気分転換になるしけっこう楽しい。失敗しても一緒に笑って食べてくれる人がいるなら、なおさら楽しい。
Text/チェコ好き
次回は<「最近面白いことありました?」に答えられることも、コミュ力向上につながると思った話 >です。
人によっては「無茶ぶりやめてよ」と思ってしまうかもしれないこの質問。人と話す際のスキルや心持ち、会話の質について、鴻上尚史さんの『コミュニケィションのレッスン』にたくさんのヒントがありました。
- 1
- 2