料理はやっぱり、できたてが一番美味しい
毎日忙しい中でも、とらなければいけない食事。 食事をきちんととらないと、エネルギーもわいてきませんよね。忙しい→食事が適当になる→体調が崩れる、の悪循環に陥ってしまったら悲劇です。
これから年末にかけて、寒さは増して風邪をひきやすくなりますし、忘年会など外食の機会も増えてきて、体調管理も大変になってきます。
こんなときこそ、家で栄養のある健康的な自炊をしたいものですが、忙しくて時間もない中で、手の込んだ料理なんてできません。仕事から疲れて帰ってきてるのに毎日そんなことまで頑張っていたら、倒れます。
昨年ベストセラーとなった、料理家の土井善晴先生の著書『一汁一菜でよいという提案』は、無理して品数を揃える必要はないんだよ、具沢山の味噌汁とごはんがあれば日常の食事は十分、という美学を説き、多くの人を勇気づけてくれました。基本的には私も、それでいいと思っています。身体がその時欲しているものを、1品でも、自分で作ることに意味があると思うので。
でも時々、無性に品数が欲しくなるとき、ありませんか? 仕事から疲れて帰ってきたとき、誰かが自分のために栄養たっぷりの一汁三菜を用意してくれていたら…と妄想したことがあるのは私だけではないはず。
そこで思い浮かぶのが「常備菜」という言葉。私も、一時期がんばって常備菜を作っていたことがありましたが、すぐにやめてしまいました。なぜなら、常備菜をまとめて作るのはかなりのエネルギーと時間が必要なわりに、あまり美味しくないと思ったからです。
料理はやっぱり、できたてが一番美味しい。簡単でもいいから、出来たてのいきいきした料理を毎日食べたい。そう思うようになってからは、その日食べるものはその日作るようになりました。
手間を最小限におさえた料理のコツを知っておけば、無理なく毎日でも一汁三菜にありつけるのではないでしょうか。
そこで今日は、時短料理のコツと、20分でできる一汁三菜を1献立、ご紹介します。
時短料理のコツ
★ 一気に取り出す、洗う、切る。ひとつの作業はまとめてすることで無駄な動きが省ける。
★ 洗い物を最小限におさえるため、フライパン使い、鍋使いを工夫する。
秋の味覚たっぷりの一汁三菜献立
<材料>2人分
秋鮭切り身 2枚
蓮根 1節
舞茸 1/2パック
醤油 大さじ1弱
みりん 大さじ1弱
白ごま 適宜
一味とうがらし 適宜
小松菜 2株
白菜 1/6カットを1/3
油揚げ 1/2枚
生姜 すりおろし大さじ1
味噌 適量
1.まず、材料をすべて冷蔵庫から出す。野菜をすべて洗う。秋鮭に塩をふってしばらく置いておく。鍋にみそ汁用のだし汁をあたためておく。
2.野菜を切り分ける。蓮根は皮をむいて薄い銀杏切り、舞茸は手で食べやすい大きさにちぎる。小松菜は株元を切り落として半分の長さに切る。白菜は食べやすい大きさにざく切りにする。油揚げは1cm角に切り分ける。生姜は大さじ1杯ぶんすりおろす(ここまでで5分経過)。
3.(ここからあと15分で仕上げます!)1のみそ汁用のだし汁(適量)でまず小松菜を茹でる。色があざやかになり食べやすいお好みのやわらかさまで茹でたら、菜箸でざるに取り上げ、冷水に落として色止めし、よく水気を絞って3cm幅くらいに切り分ける。
4.3の鍋でみそ汁を作る。2の白菜、油揚げ、しょうがのすりおろしを加えて中火で火を通す。
5.大きめのフライパンに手前にサラダ油を、奥にごま油をひき、中火であたためる。1の秋鮭から出ている水分をキッチンペーパーでよくふきとり、フライパンの手前で皮目から焼き、両面焼き色をつけるように焼き中まで火を通す。
同時に奥のごま油で、蓮根と舞茸を炒める。しんなりと火が通ってきたら、みりんを加えて絡め、次に醤油を加えて照りが出るまで炒め絡める。お好みで一味とうがらしを加える。
6.4の鍋に味噌を溶く。
7.それぞれ盛りつける。きんぴらにはお好みで白ごまを乗せる。小松菜にはお好みで鰹節をのせ、ポン酢醤油などをかけて頂く。
無理のない脱力系の一汁三菜で、この秋ぜひ、充実した食事を楽しんでください。食事はすべてのはじまりです。
text by 太田みお
働くおひとりさまにとっての毎日はめまぐるしくて、ゆっくり季節を感じる時間さえ取れないですよね。 「休日のたった1時間でいいからほっとしたい…」元外資系バリキャリから一転、丁寧な生活を目指して料理研究家になった太田みおさんが、四季の彩りを簡単に楽しむ「レシピ=歳時記」をお届けします。
※2017年11月17日に「SOLO」で掲載しました