どこで一息つく?本音も聞けちゃう一夜
早いもので12月も中盤となりました。年を越しても生活は続くのですが、なんとなく今年のうちに終わらせておきたいことに追われ、慌ただしい日々ではないでしょうか?
年内最後の純喫茶にまつわるイベントは、6月に開催して好評を博した内容をさらに盛りだくさんにして開催した「第二回 純喫茶マスター大集会」でした(正確には、12/14に「東急ハンズ限定発売 2020年純喫茶週めくりカレンダーイベント」がありますが、こちらは招待制で受付終了しています)。
今回ご出演下さったのは、有楽町「ローヤル」野山さん、亀戸「侍」春日さん、神保町「トロワバグ」三輪さん、高円寺「ルネッサンス」檜山さん・岡部さん。さらに、後半戦には第一回にもご出演下さった4名(神田「エース」清水さん、虎ノ門「ヘッケルン」森さん、目黒「ドゥー」嵯峨さん、新宿「らんぶる」重光さん)も加わり、総勢10名でのトークを繰り広げました。
各店舗の紹介を終えたあと、主なテーマとなったのは、「適切なコミュニケーションを取れるようになるための方法」と「喫煙について」の2つ。コミュニケーションについては、最初から備わっている素質のほかに、「長年の経験や間合いを学ぶことでだんだんと分かるようになってきた」という意見でほぼ一致しました。
次に、純喫茶のみならず、様々な飲食店で頭を悩ませているであろう喫煙問題。私は喫煙しないのですが、純喫茶の歴史は煙草と切っても切れない関係にあることや長い間喫茶業界を支えてきた喫煙者の皆さんの気持ちを考えると、「健康に悪いので今すぐ全面廃止」となってしまうのは心苦しいものです。お店の方やそこで働くスタッフの皆さんの体調を考慮すると、煙がないほうが良いことも分かっているのですが、単純にその理由だけでは割り切れない奥深い問題。ステージ上の皆さんもそれぞれの苦悩があるようで、しばし意見交換が続きました。
その空気を打ち破ったのは、ルネッサンス・岡部さんの「ルネッサンスは空間の構造上どうやっても分煙することはできないので、思い切って曜日で喫煙か禁煙かを決めて営業しようと考えています」という画期的な言葉でした。たとえば、平日は喫煙可、週末は禁煙など周知されるようになれば、事前に承知した上で訪れることができます。一方的な主張を押し付けるのではなく、喫煙者、非喫煙者どちらともお店が折り合いをつけられることはとても良い考えではないかと唸った瞬間でした。
その他に出たテーマで興味深かったのは、「喫茶店の店主はどちらでほっとひと息ついているのか」ということ。たしかに、私たち純喫茶愛好家はお店を訪れては気持ちやおなかを満たし、幸せな気持ちで帰路につきますが、朝から夜まで憩いの場所を提供して下さっている純喫茶の方たちは果たしてどこで寛いでいるのだろうと私も以前から気になっていました。ローヤル・野山さんにいかがですか? と話を振ったところ、「ドトール!」と即答があり、会場は一気にわいたのでした。「私はヴェローチェ!」とエース・清水さんがたたみ掛けるように笑いを誘い、「居酒屋」「自分の店」などそれぞれの寛げる場所、居場所についてのお話を伺いました。
普段、営業時間や定休日が重なっている喫茶店業の皆さんは、他のお店に訪れたくてもなかなか時間が合わないという悩みを抱えていらっしゃるようで、このような横の繋がりをきっかけに意見交換や交流ができるようになったことをとても喜んで下さっていたのが印象的でした。
阿佐ヶ谷ロフトAによる各店舗の名物を模した特別メニュー、アデリアレトロ(石塚硝子)による素敵なグラスたちの販売も会場に色を添えて下さいました。
純喫茶を営む人たち、純喫茶を愛する人たちが集まって下さった貴重で楽しい時間でした。ご参加下さった皆さま、関わって下さった皆さま、気に掛けて下さった皆さま、本当にありがとうございました!また来年、気になるお店の方々にお声掛けして、第三回も開催できたならと思っています。その際はぜひ遊びにいらしてくださいね。
Text/難波里奈
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