地下に広がる非日常、名曲喫茶へ寄り道のすすめ

新宿の喧騒を忘れる空間

席が多くてすぐ入れる新宿の喫茶店「らんぶる」

繁華街は美味しいレストランや素敵な洋服店などが軒を連ねるとても楽しい場所ですが、あまりの人の多さに疲れてしまうこともしばしばです。
特に休日は賑わうため、ひと休み出来るカフェや喫茶店は満席であることが多く、休むためにも列を作って待たなければならないことも多いのではないでしょうか。
特に新宿は混雑が激しく、自分のペースで歩くのも困難なほどです。
しかし、そんな時にふらりと訪れても入店可能で、珈琲やレモンスカッシュを飲みながらほっと一息つける純喫茶があります。
新宿駅東口から三丁目方向に向かう飲食店が並ぶ商店街の中に浮かぶ黄色い看板が目印の「らんぶる」です。

席が多くてすぐ入れる新宿の喫茶店「らんぶる」

外からは一階部分しか見えないため、初めて訪れた方はこぢんまりとした喫茶店だというイメージを持つのではないでしょうか?
しかし、扉を開けて左側にある階段を降りていくと、そこにはまるで舞踏会場のように広く天井の高い空間が現れます。
赤いベロアの絨毯と座り心地の良さそうな赤いソファ、さらに下のフロアへと続く大きな階段に目を奪われます。
地下階にはあわせて200席ほどあるため、よほどでない限り入れないことはなく、待ち合わせにも安心して利用することが出来ます。

席が多くてすぐ入れる新宿の喫茶店「らんぶる」

名曲喫茶として愛されてきたこちらでは現在でこそCDを使用しているようですが、かつては膨大な枚数のレコードが日々流れていたそう。
周りの喧騒が嘘のように落ち着いた空間でぼんやりと座っていると疲れもどこかへ飛んでいくような気がします。

余談ですが、店を任されている三代目の店長は学生時代の友人です。
当時はもちろんそのような話をしたこともなかったのですが、数年前に開催された飲み会で見覚えのある顔を見つけ、交換した名刺にはなんと「新宿 らんぶる店長」と記載されていたのです。
すでに純喫茶に夢中だった私は飛び上るほど驚いたのでした。
長い間疎遠だったにも関わらず、最近では時々一緒に珈琲を飲んだり、撮影場所として協力をしてもらうなど頻繁に連絡を取るようになり、純喫茶が再び繋いでくれた不思議なご縁に感謝するのでした。

Text/難波里奈

※2016年3月18日に「SOLO」で掲載しました

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