創業50年。昭和の時代から受け継がれてきた絶品ミートソース

純喫茶が多くある場所の一つとして駅構内があります。待ち合わせにも最適で雨の日も濡れず、慌ただしい時に少しの時間を過ごしたいとしても乗車時刻の予定を立てやすいところが利点です。

昔から好きで頻繁に通っている中の一つに新橋駅前ビルがあります。新橋駅前ビルは昭和41年に建てられ、東京での「駅ビル」第一号と言われ、当時はエレベーターガールや受付嬢のいる最先端の場所であったそうです。今回は歴史を同じくして開店し、今年の10月で50周年を迎える純喫茶を紹介します。

昭和の感じがむしろ新鮮に映る

新橋・パーラーキムラヤ パーラーキムラヤ

新橋駅を利用する人たち、こちらを目指してやってくる人たちをやさしく出迎えてくれるのは「パーラーキムラヤ」。
パーラー、という文字が冠にあるとときめいてしまうのは、純喫茶を好む人たちの共通点ではないでしょうか。入口のガラスケースには昭和を感じる食品サンプルがずらりと並び、今日は何を食べようかと迷う楽しい時間です。

新橋・パーラーキムラヤ パーラーキムラヤ

えんじ色と白色の椅子は今見てもモダンなデザインで、窓際の席にかけられたレースのカーテンはどこか儚げ。店内中央の仕切りの上には船の模型と魚たちが泳ぐ水槽が。あえて携帯は鞄の中にしまい、時間の流れにぼんやりと身をゆだねてみるのも良いものです。

新橋・パーラーキムラヤ パーラーキムラヤ

サラリーマンのオアシスであるこちらでは、スーツ姿の男性たちが昔懐かしい飾り付けのプリンアラモードなど甘いものを食べている微笑ましい姿をたまに見かけます。

新橋・パーラーキムラヤ パーラーキムラヤ

平日の営業はAM7時半から夜は22時までと会社員は利用しやすくメニューも豊富ですが、マスターの一押しはミートソーススパゲティ。たまねぎを炒めるところから完成までは3日間。創業時から空にならないよう少しずつ継ぎ足され丁寧に作られたソースは、やわらかな味が守られています。

「昭和の時代から普通にしてきたことを今も変わらず行っているだけ。しかし、若い人たちには新鮮に映るようで嬉しい。」とはお母様と一緒に店を守る二代目マスターのお言葉。
朝はモーニングセット、昼はミートソーススパゲティとプリンアラモードを、夜はチキンピラフとクリームソーダなど、純喫茶メニューのフルコースで一日に何度も訪れてはいかがですか?

Text/難波里奈

『純喫茶へ、1000軒』の書影 難波里奈『純喫茶へ、1000軒』

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※2016年2月29日に「SOLO」で掲載しました