『将来は店を継ぎたい』家族4代が大切にしてきた純喫茶で珈琲を

数年前に丁寧なメールを頂きました。
送って下さったのはユミさんという女性で、そこには、「祖父母が現役で『珈琲家ロビン』という純喫茶を名古屋市中村区寿町で60年近く営んでいます。ロビンは曾祖父が初め、祖父は二代目。今でも朝4時開店、16時の閉店で(現在は15時までに変更。)頑張っています。私もそんなロビンが大好きです。名古屋にお越しの際には、ぜひ珈琲家ロビンにいらして下さいね。」と綴られていました。

愛知・名古屋・珈琲ロビン 珈琲ロビン

純喫茶を営む方の平均年齢は年々高くなってきていて、店に伺えば興味深い話をたくさん聞くことは出来るものの、メールやSNSに長けている方はあまり多くなく、遠方の方とはやり取りがしにくいことが実情です。なので、純喫茶が身近にある方からこのようなメールを頂けたことは大変嬉しく、ご家族の店をとても大切に思われている気持ちに感動していつか必ずお邪魔したいと思っていたのですが年月が経ってしまい先日ようやく訪問することが出来ました。

愛知・名古屋・珈琲ロビン 珈琲ロビン

到着したのは15時頃。灯りは点いていたものの、営業時間は過ぎてしまった様子。申し訳なく思いながら扉を開けると、優しそうなマダムがにっこりと迎え入れて下さいました。せめてご挨拶だけでも、とメールを頂き東京からやって来たことを告げると、とても喜んで下さりすぐさまユミさんのお母様を呼んで下さいました。
事情を伝えると、お店の歴史や現状について色々とお話して下さり、マスターだったお父様(ユミさんのおじいさま)が数年前に急逝されてしまったことも。

愛知・名古屋・珈琲ロビン 珈琲ロビン

現在は、ユミさんのおばあさまとお母様がお店を守り、すっかり親戚のように繋がりの深くなった昔ながらの常連さんたちや、ユミさんたちご家族の集まる大切な場所であり続けているそうです。さらに、ユミさんのお子さんが「将来はお店を継ぎたい」と話しているようで、彼女の描いた味のある「ロビン」の絵が飾られている壁を眺めながら、思わずその絆の強さに涙が出てしまう程でした。

愛知・名古屋・珈琲ロビン 珈琲ロビン

丁寧に淹れて下さった珈琲ももちろん美味でしたが、こちらの一押しメニューはタマゴサンドとのこと。
私はまた次回のお楽しみとなってしまいましたが、お近くの方は是非あたたかい雰囲気に包まれながら、お薦めのタマゴサンドと美味しい珈琲で素敵なひとときを。

Text/難波里奈

『純喫茶へ、1000軒』の書影 難波里奈『純喫茶へ、1000軒』

難波さんの新刊『純喫茶へ、1000軒』に興味がある方はこちらから!

※2016年2月5日に「SOLO」で掲載しました