はじめての書籍で紹介した思い出の純喫茶
つぼみだった桜がいつの間にか満開を迎えて、花が散っていくのを見ては、まだ少し遠くの夏を想うこの頃です。
皆さまはお花見などされましたか? 私は大切な友人たちと早朝に眺めた桜と、純喫茶へ寄った帰り道に見上げたライトアップされた夜桜が、今年の思い出となりそうです。
さて、咲いたと思ったらすぐに散ってしまう花のように、人生というものも振り返ってみるとあっという間なのかもしれません。
押上にある「伽羅」という純喫茶は、私にとって初めての著書『純喫茶コレクション』で紹介させて頂いた思い出深い店です。
書体の素敵な看板、入口前の季節を感じさせてくれるプランター、扉を開けると真っ先に飛び込んでくる大きな水槽の中で泳ぎ回る熱帯魚、少しカーブした窓際の席、ずらりと並んだサイフォンたち、ずっと眺めていられそうな壁紙、そして笑顔が素敵で美しいマダム…。
自分の行動範囲とは反対方面のため、数回しか訪れることが出来なかったにも関わらず、記憶に鮮明な空間でした。
そんな「伽羅」が、店の前の道路拡張を理由に3/31でその歴史に幕を閉じることとなりました。
せめて書籍でお世話になったご挨拶だけでも、と勤務終わりの夕方、急いで押上まで。
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