私たちは、自分のためだけに生きていけるのか

女性が物思いに耽る写真 David K

外食産業も娯楽産業も、インターネットもSNSも発達した現在では、ときに風当たりの強い場面に身を晒すことも皆無ではないとはいえ、我々おひとりさまの女性にとって徐々に快適な社会になりつつあるのではないかと思います。1人でも楽しめることはたくさんあるし、それこそこのSOLOのような媒体が、1人で生きることを応援して後押ししてくれます。

「女はやっぱり結婚しないと」「子供がいないと」などと宣う小物は放っておいて、みなさんにはぜひこのまま肩で風切る勢いで現代社会を生き抜いていってほしいです。だけど、そんな我々の前に立ちはだかるのは、旧社会の価値観を引きずった小物ではなく、自分のなかに眠る生物的な本能というか、生き物としての限界なのかなあということを、私は最近考え出した次第です。

たった1人で生きるのは、モチベーションが維持できない?

『うさぎとマツコの往復書簡』(毎日新聞社)の書影 『うさぎとマツコの往復書簡』(毎日新聞社)中村うさぎ、マツコ・デラックス(著)

考え出したきっかけは、先日ちらりと読み返していた『うさぎとマツコの往復書簡』。中村うさぎとマツコ・デラックスが、「サンデー毎日」上でやり取りしていた往復書簡を収めた本です。ゲイの男性と結婚した中村うさぎ(実質シングル女)と、マツコ(ゲイ)は互いに、「ホモとシングル女って似ている」と、自分たちの境遇を重ね合わせながら話を進めていきます。

どういったところが似ているのかというと、まずはどちらも世間から理解されづらい存在であること。徐々に多様性が認められるような社会になってきているとはいえ、ホモもシングル女もまだまだ王道の生き方をしている人たちに比べれば、数が足りない。しかし、楽天的に考えていいのであれば、このあたりは時間がそのうち解決する話でしょうから、たいした問題じゃありません。

それよりも大変そうだなあと思ったのは、ゲイもシングル女も、子供を持つことが難しいので、自分のためだけに生きなくてはいけないということです。厳密にいうと、男性同士・女性同士のカップルであっても養子などの制度を使って子供を持つことはできるし、子供を立派に育てているおひとりさまの女性もいます。だけどそういった機会についに恵まれず、配偶者や子供といった「自分以上に大切なだれか」に巡り会えなかった人生というのは、いったいどう生きていくのがいいのでしょう。

若いときは自分のためだけに人生を謳歌することはそれほど難しくはありません。しかしいろいろな場所で耳にすることですが、年齢を重ねてくると、自分のためだけに生きていくことは、徐々にモチベーションが維持できなくなってくるらしい。こちらの本では、年齢を重ねたことによってうさぎさんやマツコさんが痛感した「自分のためだけに生きていくことへの罪悪感」の話や、漫画家の桜沢エリカさんが結婚・出産した理由を「自分のためだけに生きてるのが嫌になった」と語った話などが登場するんですが、おひとりさまの女性にとってはこのあたり、無視できない話題なのではないでしょうか。