どうせ幸せになんてなれないから、「幸せになりたい」っていうのやめよう

「幸せになりたい」。今日もそよよと風に吹かれて、どこからともなくそんな声が聞こえてきます。そして、そんな「幸せになりたい」とボヤく女性に対する、定番の返しはこうです。「あなたはどうなったら幸せになれるって自分で思うの?ちゃんと要件定義して!」

パリの街並みの写真 Iulia Pironea

自分は本当は何が欲しいのか、どんな人と一緒にいられたら幸せなのか、あるいはずっと独り身でも別にいいのか。そういうのを見極めるのが大事だということは確かに、話としてはごもっともです。
で、どうですかみなさん。要件定義、できました? きっと賢明なみなさんは、こういうのをきちっとやって、悩み迷いながらもおひとりさま道を邁進されているのではないかと思います。ちなみに私はですね、幸せ感度が高すぎるので、最悪すべて失ってホームレスになっても、どこかで拾って本さえ読めればけっこう幸せかなって思ってます。あとは野となれ山となれ。

で、すべてを手に入れたあなたは、本当に「幸せ」になってますか?

今回は、そんなみなさんにちょっと想像してみて欲しいのです。幸せの要件定義をきちっとやって、たとえば自分がやっぱり結婚したいことに気が付いたとして、結婚相手に求める条件を、妥協しつつ譲れないところだけはしっかり決める。で、挑んだいざ婚活。そして、なんやかんやの末に悪くない男性を見つけて、見事たどりついた結婚式。おめでとう!1年後には子供(長男)も産まれちゃったあなたは今、幸せの絶頂にいます。やったね!いいでしょういいでしょう、にっこり笑ってVサインかましてください。いやーよかったよかった。想像しただけでハッピーな気分になれますね。

しかしですね、このあなたの幸せが、死ぬまで永遠に続くかというと、残念ながらたぶんそんなことはないのです。「今のあなた」が要件定義して欲しいと思った、そのすべてを手に入れたとしても、バラ色の人生はおそらく1日くらいしか持ちません。次の瞬間には、すぐに新しい不幸の要素と問題が、姿をのぞかせてくることでしょう。
旦那さんが実はあんまり育児に協力的じゃないことがわかったとか、駅でベビーカーを押していたらホームにいた男性に舌打ちされたとか、大きい問題から小さいイライラまで、この世界にはあなたを不快にさせる要素がたんまり眠っているのです。たとえすべてを手に入れたとしても、不幸の要素はきっとネタ切れを起こさないでしょう。なんか知らないけど、世の中はそうなっているようです。