昔の私は嫉妬深かった
すぐに嫉妬をしてしまう。
いや、気を抜くとすぐに心のなかが妬み嫉みで埋め尽くされるといった方が、私の心情を表現する言葉としては正しい気がする。
人間性の問題なのか、はたまた私の器が小さすぎるせいなのか。仕事や趣味、友達との飲み会がいったん落ち着き、時間にも心にも余裕ができ始めると、その隙間がすぐに嫉妬というドロドロとした汚い感情で埋まってしまう。一度、嫉妬の感情が胸に注がれると、喜怒哀楽、ほかの感情をじわじわと奪っていく。怒りでも悲しみでもないような、他人に向けたところでどうにもならない、焦っているときに抱く感覚が頭の中でいっぱいになってしまう。
まあ、私はベッドに潜り込んで目を閉じ、一度眠るとリセットされるという便利な機能を搭載しているため、次の日になればすっかり忘れている。だから、嫉妬にまみれるのも、ほんの少しの間だけではあるのだけれど。
誰か身近な人が大勢で楽しそうに遊んでいるとか、カラフルなインスタスポットに行ったとか他者の出来事に関しては、どうだっていい(どこか遠くの国に行っている人に対しては、単純に羨ましいとは思う)。結婚も出産に関しても、特に何か思ったりはしない。もはや運みたいなものだし、何かをはき違えて負の感情を抱くことがあっても、瞬時に「あ。でもそういえば、私は結婚にも出産にも、大した興味を持っていなかったよな」ということを思い出す。セーフ、セーフ。このときの私は、まだ大丈夫だった。
そういえば、近頃は仕事も忙しかったし、うまくいかないことが立て続けに起こっていた。日常生活も寝る暇もないとはいかないけれど、そこそこには忙しい(と、思う。たぶん)。
だからすっかり忘れていた。彼女が結婚したという報告をSNS上で知るまで、思い出すこともなかった。昔の私は今よりもずっと嫉妬深かったということを。彼女に羨望に近い、嫉妬心を抱いていたということを。
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