勇気なんていらない。寂しさも全部かき消す、ひとり海外旅行の醍醐味

「ワクワク」がかき消してくれる

1人の海外旅行を楽しむ女性の画像 rawpixel

年末年始は、海外で過ごすことに決めている。

社会人になってから、思った以上に長期休みが取りづらくなってしまった、というのは理由のひとつとしてある。けれど、それ以上に暇を持て余しすぎてしまったことが大きい。
祖父母の家にも帰らず、家でテレビを見る習慣もない。そもそも家族仲がそれほどよくはないので、年末年始らしい行事が我が家にはない。
友達を誘う……うーん、みんな実家に帰っているし。「せっかくの年末年始なんだから」という理由を見つけて仕事もせず、寝てばかりいた。こんな風に時間を無駄にするのなら、どこかに出かけたほうがマシだ。そう思って、今年も日本より数時間遅れて、年を越す。

もともとの趣味がひとり旅なのだけれど、「誰かと旅行にでかける」という選択肢が、私のなかからすっぽりと抜けてしまっている気がする。
そもそも、遊ぶにしても飲み会にしても人を誘うという行為が苦手だし、いざ1人で出かけてみたらなんとかなってしまった。心細さ、寂しさ、「もしかしたら」の不安は、ワクワクした気持ちにかき消されていく。誰かと一緒に過ごさねばならない窮屈さと比較したときに、私は迷わず1人でいることを選ぶ。

……というような発言をすると、決まって「勇気があるんですね!」とか「すごいですね!」と言われるのだけれど、違う違う。違うんだってば。別に勇気とか関係ないってば。多少危険だったとしても、今後も継続して1人で海外に出向いていこうと思うのは、私の経験から得たものだったりする。

私にだって何人かの友達がいて、何度か一緒に出掛けたことがある。具体的な国名を挙げれば、韓国、ベトナム、トルコ、台湾だ。ほとんどは大学時代。メンツも一緒だったり違ったりするのだけれど、まあ、もれなくイライラしてしまった。
好みのものが見つからないからもっと買い物を続けたいと1人が言い出して振り回されたり、せっかくの台湾旅行なのに「お腹を壊すのが怖いから」と屋台でごはんを食べることを断念したり。自分好みの自撮り写真が撮れないといってしばらく待たされたこともあった。人にプランを練らせるだけ練らせておいて、文句ひとつ言うだけで何も考えてくれず却下されたことも今思い出した。ああ、ダメだ。書いているだけでムカついてきた。

しかし、イライラしたのは相手も同じだろう。「私、長時間人と一緒にいるとイライラして何も話さなくなるけど、特に何か理由があるわけではないから、放っておいて」と言ってしまった手前、本当に放っておかれた。その節はすみません、でも仕方ないんだ……そういう性分だから。