「顔が好き」は恋愛感情と結びつくか?
突然ですが、皆さんはイケメンがお好きでしょうか?
念のために説明をしておくと、「イケメン」とは顔のいい男性のことだ。
「イケメンが好きか?」と尋ねられたら、大半の人が首を縦に振るだろう。「一緒にいると、自己嫌悪に陥っちゃうから……」とか「付き合うとプレッシャーに感じるから……」とかはナシな! な~~に好かれることが前提で話が進んどのじゃ! こっちは、観賞用、愛でる対象、目の保養、自然の生み出した芸術作品として好きかどうか聞いとるんじゃ!
ということで、この世に存在するほぼ全人類はイケメンが好きだと私は思っている。
言うまでもないけれど、もちろん私も大好きだ。最高。尊い。一度拝ませて欲しい。しかし、この「顔が好き」という感情が、恋愛感情と直接的に結びつくかどうかというと微妙なところである。
たしかに、顔がいいと、第一印象がいい。人が他者に好意を抱くかどうかは、ほとんど第一印象で決まるとも聞いたことがある。顔がいいということは清潔感もある程度担保されるし、どんなファッションだって似合う。見た目に気を遣っていなくても、ある程度の印象をよくすることができる。でも、はじめて会って話をして、そのまま抱いた印象のままストレートに好きになれたら単純で楽しく生きていけそうなのに、案外そうでもなかったりするので難しい。
恋愛ってなんだ? 人を好きになるってなんだ? 私だけが、今だにわからない気がしている。
以前の勤めていた会社の取引先に誰がどう見ても顔のいい人がいて、たまに一緒に食事をする仲にもなった。私が転職をするときも心から残念がってくれ、業種・業界もまったく違うのに気にかけてくれ、相談に乗ってくれたりもする。
はじめて見たとき、ア~はいはい、顔がいい。おまけに性格もいいし、仕事もできるときた。最高。顔がいい男と仕事をすると直視し続けていても罪に問われない。ありがとう、彼の両親。同じ時代に生きることができて、まじサンキューな! という感じだったので、連絡先を聞かれ、さらに食事に誘われたときはめちゃくちゃにテンションが上がった。しかも、予約してくれた店はちょっと高めの地中海レストランだったし、「転職祝いなので」という名目で奢っていただいたときには心のなかでは泣きながらスタンディングオベーションをした。
店とか奢りとか大きなこだわりはないんですけど、その気持ちがさ! やっぱりさ!! うれしいじゃん!!! たまにしかないイベントなので、素直に喜んだ。
面食いだからって好きになれるわけじゃないんだな
そこまでは全然よかったんですけど、話をしていても特に自分が盛り上がることもなかったし、大して仲がいいわけでもないのに「どんな男性がタイプなんですか?」と聞かれたり、「今度、手料理食べさせてほしいです!」と言われたり、過去の恋愛についてあれこれ聞かれたりして、あ、こりゃダメだな、と思ってしまったのだった。
話が弾まないのもしんどいし、そもそも私は、初対面で好みのタイプを聞いてくる男性が好きではない(ちなみに初対面で好みのタイプを聞いてこない人がタイプだ)。それになんで料理は女の仕事だと思っとんのじゃ!!! 私がお前のために労力を惜しまねばならん理由はあるのか!!! クソ!!! と心中でさまざまなツッコミを入れながら、なんとかその場をやり過ごした。このときには、ブチ上がっていた私のテンションも低空飛行をはじめていた。
まあ、そもそも相手にとって私も仕事上だけの関係でほとんど何も知らないし、どんな気持ちを抱いていたのかも定かではないのだけれど。まあ、どうでもいっか。
私はかなりの面食いだと思っているけど、でも人のことを滅多に好きにならない。顔のいい男性だったら案外すぐに好きになれるのは? みたいな仮説が自分のなかに存在していた。が、やっぱりうまくいかないんだなあ、と思った経験だった。
かわいいとか美人と言われるタイプでもない。性格もいいとは言えない。ファッションや趣味、思考回路だって男性に好まれるとは言いにくい。だから、選ぶような立場ではないことはわかっているんだけどね。
どこかに眼鏡で顔が薄くて黒髪で結婚に対してうるさく言ってこなくて浮気しなくて頭の回転が速くて仕事ができて女性のことをちゃんとひとりの人間として見てくれて自分の意見をちゃんと持っていて話題が豊富で落ち着いていて自分の生活を賄うくらいの収入があって趣味を持っていて嫉妬しなくて面倒臭くない男の人が道端に落ちていたり、クリスマスのプレゼントでくれたりしないですかね。
Text/あたそ
次回は <勇気なんていらない。寂しさも全部かき消す、ひとり海外旅行の醍醐味>です。
今回は結婚を考えている彼の浮気の証拠を見つけてしまった女性からの相談。野心家の男性との付き合いに関して、ニクヨさんが彼女にアドバイスすることとは?恋愛におけるスタンスについての言葉が胸に響きます!