式にお呼ばれされても楽しみ方がわからない

 私は結婚適齢期ど真ん中で、だからこそお誘いが来る。でも、高校時代の同級生で、卒業してからは成人式の同窓会で1度会ったきりで、それ以外は会うことも連絡を取り合うこともない人とか。部活やバイト先が同じというだけで、それ以外に接点がほとんどない人とか。
もともと私と仲のいい人たちは、決まって結婚願望がない。だからこそ、このくらいの年齢で結婚式に誘って来る人は、結局距離の遠い人ということになる。私はいつも疑問や苛立ちをおさえつつ、何か理由をつけて断ってしまうのだった。

 まあ、祝わなければいけない立場だって、「よくこんな関係ない人間を誘えるな!」と思うほどなのだけれど、私に声をかけるのだから、何か理由があるのだろう。
よく聞くのは、新郎と新婦で同じくらいの友人を呼ばないと見栄えが悪いとか、なんかそういうの。だとしても、こんな距離の遠い人間を無理やり呼んで、大して思ってもいないような祝福の言葉を向けられて、嬉しいんだろうか。幸せを感じることができるんだろうか。そういう余計なことばかりを考えてしまう。

 私は今、友人2人から結婚式に出て欲しいと言われている。けれど、やっぱりさほど仲良くもない人なので、わかりやすい理由を見つけて断ってしまった。
出たくない。ご祝儀とか、そういうのはどうでもよくて、むしろお金でこの罪悪感が消えるならとっくに支払っている。けど、そうじゃない。どのように楽しんでいいのかが全くわからないし、うまい切り抜け方がわからないのである。

 こういう屁理屈をこねくり回し、ああだのこうだの言っているから、私はそれほど友達が多くないし、結婚も遠のいていくのだろう。
ひと昔前の出会いの場って結婚式だったというけれど、でも私はなるべくなら結婚式に出たくない。上手いこと断ったり、式当日のなんでもない振舞いとか、大人の所作みたいなものがあるなら教えて欲しい。

 色々な人に相談したところで「私も嫌だけど、仕方ない」だの「せっかくの祝いの場だし」という助言をいただくだけで、みんなきちんと大人の心がけみたいなものがわかっているらしかった。
私だけ心の成長が止まったままで、だからこそ結婚式で居場所を見つけられないのかもしれない。

Text/あたそ

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次回は <人生でやりたいことはたくさんあるのに、やらない選択をしてしまうあなたに>です。
死ぬまでにいつかやってみたいことは、いくつあるでしょうか。すぐに叶いそうなものから、人生の目標になりうるもの、ずっと手をつけられずにいたものまでさまざま。始めるきっかけは、案外急に現れるものかもしれません。