
どうでもいい話なのですが、わたしの名前の“大泉りか”はペンネームです。大泉は出身地の練馬区大泉学園から、りかは好きだった画家から一文字もらって決めたもので、かつて大泉りかと名乗る以前、裸稼業を行っていた頃は栗戸理花という酷い芸名を名乗っていました。
そういうわけでわたしはこれまで4つの名前で使って生きてきました。ヌードモデル時代の栗戸理花、モノカキとなってからのペンネームの大泉りか、そして結婚前の本名と、結婚中に使っていた元夫の姓がファミリーネームの4つです。正直なところ、いま最もよく呼ばれるのは「りかさん」とか「りかちゃん」だし、かつては両親から授かったのではなく、自分で得た“大泉りか”という名前で呼ばれることが誇らしかった。
けれど、いま付き合っている恋人はわたしのことを本名で呼ぶし、また20代のヌードモデルデビュー前に知り合った古い友人や、子育てが落ち着きつつある同級生たちとの交流が復活したことに伴い、最近は本名で呼ばれることも増えた。人生の後半になってかつての自分が戻ってきた感があり、それはそれで悪くはない気分なのが自分でも面白い。
「りか」呼びで一番嫌だったこと
ところで、これまででりか呼びで一番嫌だったことといえば、かつて付き合っていた人にセックス中に突然に「りかちゃん」と呼ばれたことでしょうか。ペンネームで知り合って、ペンネームで普段呼んでいる人であれば、なんにも気にならないけれども、普段は本名で読んでいるのに、ある時のセックス中にだけなぜかペンネーム。わたしが身に着けた何かに興奮をしているのか、わたしが努力の末に得たものを穢して喜びを得ているのか、どっちかはわからないけれど、わたしでなく、なにかの妄想を抱いているような印象を受けました。部長だとか先生だとか奥さんだとか、そういう属性に興奮する気持ちもわからないではないけれど、なんだかオナニーのおかずにされているようで、腹が立ったし悲しかった。
旧姓に戻して驚いたこと
ちょっとというかかなり話が逸れましたが、何が言いたかったかというと、去年離婚した際に、わたしは苗字を元夫の姓から旧姓へと戻したのです。息子とバラバラの苗字になってしまうこと、さらには身分証やらクレカやらの変更手続きの煩わしさを考えて、ちょっと悩んだのだけど、元夫の姓を名乗りづ付けているのもなんとなく居心地が悪い気がしてもとに戻すことに。その時に驚いたのは、手続きがさくさくと済ませられたこと。
かつて結婚した際に苗字を元夫の姓に変えた時には「面倒くさい……」とぶつぶつと呪いを吐きつつだらだらと一ヶ月くらいかけてこなしたのだけど、今回は「さくさくとやっちゃうぞー!」とその日のうちにすべての手続きを終えてしまった。結婚で苗字が変わること自体はどうでもいいし好きな人と同じ苗字になるのは、それなりに嬉しかったけれど、手続きには不満があったんだなという話でした。
Text/大泉りか