「息苦しい世の中になったもんだね」なんて言うのはおじさんだけじゃない

本書で言われていることは、たとえ自分がマイノリティとしての属性を何か1つ持っていても、他の面ではマジョリティ側に立っていることはよくあることであり、その度に自分の持つ特権に敏感になろうということだ。女性であっても、外国人や障害者、性的マイノリティの境遇にはびっくりするほど鈍感だったりする。

ただ、これはすごくすごく難しい。著者も冒頭で自分の失敗談を語っているし、私だって失敗したことはあるし、たぶんこれからもするだろう。というわけで完全な予防策はないのだけど、本書を読むことで、自分が持っている特権に気づきやすくなる効果はあると思う。

「息苦しい世の中になったもんだね」なんて言うのはだいたいおじさんのイメージがあるけれど、女性でもこういうことを言う人はたくさんいる。そして、楽しい推しカプ語りの空気に水を差したくなくて、「今の言い方はよくないよ~」という言葉をつい飲み込んでしまった私もいる。先は長いが、数が少ないほうのグループにいるからこそ見える視点を活かして、来年以降もひとつひとつやっていこうと思う。まずは、勇気を出して「今の言い方はよくないよ~」を言うところから……。

Text/チェコ好き(和田真里奈)