「〇〇似の美女」を使う理由

そして「〇〇似の美女」だが、「そこまで似てないぞ……」となりがちである。読者に妄想を持ってもらうために「〇〇似の美女」を使うのだが、ここで使われるのが全国的に有名なアナウンサーや女優である。むしろ「岩手県の××(テレビ局名)の△△アナの方が似てるんじゃないか?」みたいなことを思う。

しかし「△△アナ似の美女と熱い抱擁を交わし、2人は路地に入るとディープキスを開始したのだ。周囲の人がチラチラと見るのも気にせず二人は大切な時間を惜しむかのように、抱き合い続けたのである」なんて書いても、そしてタイトルに△△アナと書いても誰だかわからない人が多いため、全国区の知名度を誇る女性似ということにするのである。

こうした写真があると、担当編集者が「おい、スゲー写真があるぞ!」と言い、一斉にそのフロアにいる人々が同氏のデスクまでやってきて皆で見て「なかなか美人だな」やら「これ、もうヤッてるな」などとワイワイガヤガヤと雑談が開始するのだ。

人生はこれだから面白い

これまで読んできて「一体こいつらの仕事何なんだよ?」と思ったかもしれないが、それは僕も同じだ。まさか子供の頃、こんな仕事をするとは思っていなかった。よく分からないけどマジメに電卓をはじく経理やら、海外と国際電話をして価格交渉をする商社マンなどになるのでは、と思っていた。

そしてもちろん、こんなエロ連載をする日が来るともまったく思っていなかった。しかも、自分の体験したことを恥じらいもなく明かすとは人生はこれだから面白い。

Text/中川淳一郎