ウエスト59cmはファンタジー。週刊誌にあるエログラビアの裏側/中川淳一郎

週刊誌に登場するエログラビアや、著名人が不倫している際のディープキス写真などは掲載される時には修正されるものである。かつては陰毛を出すことも禁止だったが、週刊現代が「ヘアヌード」という言葉を発明し、今では陰毛も登場する。ディープキス写真では相手が一般人の場合は目線を入れ、顔を判別できないようにするのが慣習である。そこで「〇〇似の清楚なロングヘアーの女性」などと似ている芸能人の名前を入れるのである。

さらにはエロい行為をしている写真が流出し、それを手に入れることもある。僕はこの手の週刊誌系の仕事をしたことがあるのだが、修正前の生々しい写真を見ると何やら複雑な気持ちになってしまうのだ。これについては「さすがにプライバシー侵害だろ、コレ……」と。

ウエスト59cmなんてなかなかいない

グラビアについては、たとえば陰部まで見えたとしてもそれで興奮するわけではない。女性の体は顔面も含め、全体を見て興奮するものなのである。さらに、事務所の指令により、修正をかけるもの。公称ウエストサイズが59cmだとしても、実際は73cmぐらいあることは多い。そもそも60cmを越えると恥ずかしい、という空気感はなんとかならないか。別に73cmあっても読者は気にしないと思うのだが……。

そこで、デザイナーが59cmに見えるように腰にくびれをつけていく。顔もホクロなどを取る作業をしたり、腿も細くする。こうしたことをやっていると、男の妙なファンタジーを掻き立ててしまい、誤解を与え、実際に女性とエロ行為をする時にがっかりしてしまうこともあるだろう。

それはお互いに不幸なことだし、世の中の多くの女性はウエスト59cmなんてことはあまりない。よっぽど運動しまくっているか、スタイルを気にする意識の高い女性でないとなかなか達成できない数字だと思う。修正をしないグラビアというものも一度週刊誌は作ってみてはいかがだろうか。まぁ、それを許す事務所がないのかもしれないが。