アラフィフも好きに露出して表現できるんだぜ!業界のために仕事をすること

先週末は“フェチ”がテーマの即売イベント『フェチフェス』に参加して参りました。ありがたいことにここのところ毎回、出展させていただいていて、いつも自作のZINEを販売しているのですが、そろそろ新作をリリースしたいなぁと考えた結果、フェチフェス主催者の三代目葵マリーさんのファンブックを制作しました。

三代目葵マリーさんとは

葵マリーさんといえば、エロ・フェチ・SM業界に少しでも関わっている人であれば、知らない人はいない超有名人。その存在は唯一無二で、様々なイベントプロデュースをしていたりメディアで取り上げられたりと、あちこちでご活躍しているため、わたしも相当に前からその存在は知っていたものの、畏れ多すぎてなんとなく近寄れないでいる存在でした。たまたま同じ媒体で連載を持つ機会があってご挨拶することとなり、それ以降はたまに一緒にランチをしたりという機会などもありつつも、葵マリーという人が何者なのか。どうしてその地位に辿り着いたのか。そもそも三代目ってなんなのだろうか、とうっすら疑問を抱いていた。

「畏れ多い」というのはその存在がよくわからないから。いや、実際にはマリーさんは同じ業界の女性たちにものすごく慕われている。けれども、なんとなくわたしの中で畏敬の存在であることは間違いなく、そこから一歩進んで、その正体を知りたいと考えた結果、「そうだ! 葵マリーさんのZINEを作ろう!」と思い立ったのでした。

その時点でフェチフェスの一ヶ月半前。デザイナーさんにデザインを頼んだり印刷所で刷ったりという過程を考えると取材と原稿執筆に取れるのはわずか2週間ちょっと。「スケジュール的に無理じゃね?」と不安を抱きつつもやるんだよ! とマリーさんにアポを取ってインタビューして評伝を書いて、マリーさんと親しい方たちにコメントをいただいてラフレイアウトを作って、と超特急で作業した。表紙と裏表紙の画像を間違えるというトラブルがありつつも、ご協力くださった方たちの尽力もあって奇跡的にフェチフェスに間に合った。フェチフェス当日は、ありがたいことにたくさんの人が買い求めてくれたしマリーさんも喜んでくれて「作ってよかったなぁ」と心から思ったのですが、今回知ったのは、他人のために自分の能力を使うことの喜びでした。

業界のために仕事をすること

10年かそこら前、二村ヒトシさんのAVのプロデューサーであるいんごまさんという男性と飲んでいた時に「これからは他人のため、業界のために仕事がしたい」というようなことをおっしゃっていて「尊いことやー!」と感嘆する一方で「いやいや、他人のためなんて余裕ないでしょ! 食うか食わざるかの世界線では自分ファースト!!」とも思った。

が、ようやくその時のいんごまさんの発言の少し意味がわかった。自分がいる世界のために自分が出来ることをすることは楽しいし、20代の女の子たちが半裸のような恰好でブースに立っているフェチフェスの会場で、年甲斐もなく露出多めのコスチュームを身に着けるのも、アラフィフになったとて好きに露出して表現できるんだぜ、という我の背中を見ろよ続けムーブのつもり……と、ババアの露出を正当化ムーブします。すみません!

Text/大泉りか