まさかのダメ出し!?

そんなカバ男とその例のバーで飲んでいたある時のこと、なんでだかそこらにいたマゾに足を嗅がしてくれと頼まれて、気のいいわたしは「いーよ!」と嗅がせたところ、なんだか微妙な反応を取られた。「え……臭かった……?」と戸惑っていたところ、カバ男がニヤニヤしながらいった。「ちょっと嗅がせてよ」と。そこらの野良マゾならとにかく男友達に微妙じゃね? と思いながら、まぁいいかと嗅がせたところ「ダッメだなー! においがしないじゃん」とダメ出しが来た。

「もっとさぁ、ブーツのまま炬燵に入るくらいの気合入れなきゃだめだよね!」とまで叱られて、なんでそんなことまでしないといけんの? 金をもらってるわけでもないし! とものすごく理不尽な気持ちになったことを、いまだに覚えているのですが、そのカバ男に先日誘われて、AVの現場にお邪魔してまいりました。

10年後もお互いに

AV新法の兼ね合いもありそうなので詳細はちょっと伏せておきますが、かわいらしい女優ちゃんの顔に鼻フックをし、太いゴムで顔面崩壊させるという酷すぎる行為を、粛々としているカバ男を見て思い浮かんだのは「職人」という言葉で、なんというか30年近く経ったいま、まったく同じではないとはいえ、近しい場所にいること、お互いに業界で踏ん張っていることに心強さをもらった気がした。年末起こした脳卒中の影響でちょっと体に痺れが残っているそうだし、それなのに飲酒量も相変わらずエグい様子だけど、10年後もお互いに、生き残って居残っていようぜよ。

Text/大泉りか