「みんなこんなに良い奴だったの?!」陽キャ陰キャは昔話です。

暑すぎる夏……皆さんどうお過ごしですか……ちょっともう、お話にならないくらい暑い。「夏らしいこと」をやりたいと思っても、暑すぎて外に出られないから何もできないし、えー私の夏、この感じで終わるの? と途方に暮れている人もいるんじゃないでしょうか。マジでさ、何もできないよね暑すぎて。海とかプール行っても暑いだろどうせ。バーベキューも暑いしビアガーデンも暑いよ。

それでも諦めきれない「夏らしいこと」をどうにか何かできないかしらと思っていたとき、一大イベントが起きました。同窓生との再会です。あの頃うまく話せなかったり、仲良くならずに幕を閉じた関係に、こんなエピローグがあるなんて……! というわけで今回は「大人っていいよね〜」っつー話。なんの足しにもならんから、涼しいとこで読んでくれよな。

友人の結婚式で気づいた変化

怒涛の再会は結婚式で起きる。高校の友人の結婚式に、仲良し女三人で向かうと、そこには五人の同窓生が待っていたのだ。内二人は学生時代も親しかった女たちで、同じテーブルに座ることもわかっていた。久しぶりすぎる再会に顔をダルダルに緩ませていると、隣のテーブルに……いる!
三年間同じ校舎で過ごしたけれど、クラスはずっと違ったし、あまり話したことがなかった女が三人座っているのだ。卒業以来だから、実に十二年ぶりの再会である。だけど一目でわかった。あ、あの子だ。不思議なくらいにすぐ思い出せて、身体は勝手に「久しぶり〜!」と声を上げる。笑顔で挨拶できる自分にとても驚いた。だって私、あの頃廊下ですれ違っても「おはよう〜」なんて言えなかったから。一度も遊んだことないし、部活も違うし、だけど共通の友達はいて、名前も顔も覚えている。でも、話しかけていいのかわかんない。そういう女の子が、校舎には沢山いた。私も誰かにとってそういう女の子だったし。

隣のテーブルに座る三人は高校時代、可愛くて明るくて派手な女の子たちだった。そして、つけまつげをつけた女の子たちだった。「つけまつげ」は校則違反じゃなかったし、いいなと思うなら自分だってつけてみればよかったんだけど。私にとって「つけまつげ」は、世界を乗りこなせている女の子だけが持っている切符のように見えていた。だから、自分がつけていいものだとは思えなかった。今振り返ってみるとマジで意味がわからないけれど、あの頃は本気でそう思っていたのだ。
三人を廊下で見かけるとき、いつも私より楽しそうに見えていた記憶がある。三人だけじゃない。あまり話したことのない女の子たちは全員、自分よりずっと堂々と学校に通えている気がしていた。私以外全員、私より楽しそうで、私より大人っぽくて、私より友達が多い、と、呪いをかけていたのは私自身で、そうやって寂しさを埋めていた。その青春にも悔いはないけど、あともう一歩、勇気を出して話しかけてみたらよかったのになと今でも時々思う。
でも今、私は話しかけることができたのだ。節目がちにオドオドと「あ、暑いね……」というんじゃなく「元気だった?」と目を見ていうことができる。そのことにとても驚いて、同時にすごく嬉しかった。あぁもう、私は自分で呪いを解いたんだなと感じることができたから。

偏見まみれだったと思い知った

そうして再会した同窓生との時間は3次会まで続く。3次会……それはオケオールです。何年ぶりだろうこんなの。てか、あんま知らない人とカラオケに行くのって初めてかもしれない。新郎側の友人たちとは当然初めましてで、高校時代の自分だったら確実に怯えて天気の話とかをしていた。実際、少し緊張した。どう見ても陽キャだ〜という一方的な観測はいまだにしてしまうので(治したい)。

新郎新婦を囲むこと以外なんの共通点もない大人十数人が、一体どうやって朝まで楽しく過ごすんだろう。マジでどうやんの? 私に何ができるの? などとブツブツ考えていると、それを蹴散らすように音楽が鳴る。同世代なら大抵知ってるヒットソングが始まって、みんな踊るように歌い始める。す、すごい。次から次へ流れるヒットソングと、打ち合わせしたみたいに揃っているみんなの歌声。私の声も、そこに混ざっている。それがたまらなく嬉しくて、タンバリンを沢山叩いた。

次第に音楽はコールに変わっていて、マジで聞いたことのないコールが始まる。結婚式に一緒に行った二人と私、以外の全員はコール文化に精通しているようで、みんな「あーこれね」くらいのテンションでコールにノっていた。凄すぎる。大学行くと習うんですか? こういうのって、どの道を歩けば覚えられたの? コールって、私もお芝居でやったことありますよ、飲み会のシーンとかでなんか、そういうのお芝居でやりましたけど、あれぜーんぶ超嘘だわ! 全然リアリティなかったです! ごめんなさい! 本物のコールは、私がやったお芝居のコールなんかよりずっと楽しげで、かっこよくて、普通にイケてた。今まで自分が見ていた世界が、いかに偏見まみれだったかを思い知って、あれからずっと顔が赤い。本当に情けないです。

コールに飽きたら「山手線ゲーム」「井の頭線ゲーム」「副都心線ゲーム」この手のゲームを面白いと思ったことなかった、というより「面白いわけない」と思っていた自分が恥ずかしい。超面白いです山手線ゲーム。スマホゲーより全然面白いです。オリンピック競技になってもいいと思います。飲み会仕様に改変された「あっち向いてホイ」あーもうめちゃくちゃ面白いです。これもオリンピック競技です。「タケノコニョッキ」こんなもん面白いわけがないと思っていた私が間違っていました。面白いです。