現実逃避で見た『YOLO 百元の恋』と『ルックバック』。ふたつの作品に私はなぜ涙したのか?

現実逃避したいときに見た『YOLO 百元の恋』と『ルックバック』

ここ数日、精神状態が非常に悪かった。頭の隅には死のイメージがあり、何かに追われ続けているような感覚が離れない。仕事も人間関係も特に問題がないはずなのに、何かしらの不安がある。人とコミュニケーションを取れば、攻められている気がしてしまう。こんな状態ははじめてではなく、もはや慣れてしまっている。相変わらず、低用量ピルが体質に合わないのか不正出血はまだ続くし、胸も張って自分の腕に少し触れるだけでも痛む。おそらくホルモンバランスの崩れから、メンタルのバランスも崩してしまったんでしょうねえ~、はいはい。

そういうとき、私はいつも現実逃避をする。できるだけ、自分のことだけを考えないようにする。他者の力を借りずになんとか立て直したいので、映画館で『YOLO 百元の恋』と『ルックバック』を見た。予想していたけれど、両方とも信じられないくらい泣いた。自分で自分が「きもいな」と思うくらい涙を流し、泣きすぎて疲労を覚えるくらいにいい作品だった。疲れた。けれど、なんとなくすっきりしている。私のなかの希死念慮やガッタガタなホルモンバランスは変わらないけれど、なんとか付き合い続けなければならないと思えるほどに。

で、ネタバレにならない程度に映画について話すと、前者は安藤サクラ主演『100円の恋』の中国リメイク映画。監督兼主演の女性は実に50キロ以上のダイエットをし、ボクシングも習得している。その過程を作中・エンドロールで見ることができるのだけれど、「仕事だから」という気持ちだけではできないほどの努力と執念に近いものを感じた。泣いた。

何度も見返しては同じところで泣いてしまうくらい、私はもともとリメイク元の映画が大好きなのだが、原作に対してとてもリスペクトがあると感じたし、特に好きなシーンが採用されていてうれしかった。それでいて、入場シーンのアレンジも素晴らしかった。あんな演出どうやったら思いつくんだろう。そこでまた号泣。

中国も日本と同じか、それ以上に家父長制が根強く残っている。家族観やIT、一般人参加型番組の流行なども今っぽい。それでいて、ラストシーンはひとりの女性の自立していく姿が描かれていて清々しい。日本版と大きく異なり、いい意味で「そうくるか!」と思った。期待を大きく裏切られ、うれしくなる。女性監督である意味、2024年に公開した意味が多いにあると思った。やっぱり泣く。