嫌な顔をする人もいる?は杞憂だった

当日。集合場所の新宿中央公園についたら、ピンクの幟がはためいていて、そこには「このままではAVはなくなる。」なんてスローガンがデカデカと書かれていました。全体をピンクのライトで照らしてあり、現役および元セクシー女優の皆さんやAV監督、メーカーの方たちはピンク色の衣類で統一している中、国防婦人会ならぬAV婦人会のたすきをかけた女優さんたちはモンペ姿だし、ナチュラルハイというメーカーの関係者はピンクのヘルメットに口元にタオルを巻くという過激派スタイル。かわいらしいクマや謎キャラクターの着ぐるみはいるし、デモを先導するのは、かのマジックミラー号。二村さんは「アダルトビデオでございます!」と叫んで参加者たちの笑いを取っている。業界の大御所葵まりぃさんや範田紗々ちゃんなどのお馴染みの見知った顔もいて、頭にはお揃いの大きなリボンのカチューシャがかわいい。デモというよりは祭りの雰囲気の中、行進スタート。わたしは一応は取材者のスタンスで、デモには入らずにカメラを回しつつ伴走する形で参加することにしました。

「いま、AV女優さんたちとマジックミラー号と一緒に新宿の道を歩いております。我々合法的なアダルトビデオを制作する者たちはいま、法律の規制によって危機に瀕しています」というシュプレヒコールに通行人たちは、ざわつきながらも足を止めてスマホで動画の撮影などしている。AVという本来はこっそり隠れてみるような存在のものが路上に出てきたインパクトに、中には嫌な顔をする人もいるのではないか、という心配は杞憂で、女の子ふたり組は顔を見合わせつつも好奇心たっぷりの表情でデモを眺めているし、ベビーカーを引いたママも物珍しそうな表情ながら、微笑みを崩すことはない。インバウンドの集団は声援まで送ってきてくれる。男性の通行人たちは知っている女優がいないかを横目でチェックしている様子のなか、唯一気まずそうだったのはカップルの男性。彼女の前でどんな顔をしたらいいのか悩ましげでした。

中央公園から新宿南口をまわって明治通りに出て、伊勢丹の前を「アダルトビデオ!」を連呼しながら通り抜け、ゴールデン街の入り口の歩道まで約45分歩いて終了しましたが、正直いって楽しかったし、その後、非日常な出来事に参加して昂揚感に浸りながら飲んだお酒は美味しかったです。アダルトビデオのデモでございました。引き続き活動を続けていくそうなので、興味のある方は二村ヒトシ監督のXなどでチェックを!

Text/大泉りか