「ひとりが好き」だけど…

私はひとりが好きだ。性に合っていると思う。以前、そういう本を出したこともある。特に趣味に関しては基本的に単独行動を取るし、何かを作り上げる困難や苦悩をわかっているからこそ、誰かとの思い出・体験の共有としてではなく、ひとりで向き合うべきだと思っている。予定を合わせるのが面倒、自由に行動したい、そもそも周囲の友だちとの趣味が合わないなども理由としては挙げられるけれど。

でも、今は「ひとりが好きだ」と思うことを辞めようと思っている。ひとりで色んなところに行ったし、行けるようになった。それは確かに自信に繋がる部分もある。でも、だからこそ誰かと何かをした経験が人より少ない気がするし、こんなにも人付き合いにひっかかることが多いのではないか? と思う。人間関係の悩みが何もない時期って、多分1秒たりともない。昔から趣味の合う友だちがいなかったし、仲良くしたいと思える人も周囲にはあまりいなかった。だからひとりで行動するしか選択肢がなく、そういう自分を正当化したかった部分も多少なりともあったのかもしれない。

ひとりは好きだ。でも、誰かと一緒にいることもそんなに悪くはない。意見が合わないとかまったく理解できないだとか、他人同士だからこそわかり合えない部分はきっとあるんだろうけれど、相手と自分は一体何が違っているのか? どんな価値観を持っているのか? 落としどころはどこにあるのか? そもそも目の前にいるこの人は何なのか? などを、対話を通じて発見したり理解できたりするのが今はやっと楽しいと思えるようになってきた。他者のことをわかりたいのかもしれない。

バンド・ストレイテナーに大山純さんが4人目のメンバーとして加入したとき、「3人でできる表現はやり尽くした」みたいな理由をあげていた(曖昧なので、各自確認してください)。私も、ひとりでできることはやり尽くしたのかも。海外旅行も、コース料理も、焼肉も、果物狩りもひとりでやったし。私はどこにだって自由に行けるんだって、十分にわかったし。

もう少し、自分から他人に近寄って信用してみてもいいんじゃないだろうか。ひとりでいることは選択肢のひとつとして持ちつつ、模索しながら人との向き合い方を変えていきたい。

TEXT/あたそ