なぜかよく言われる「嫌われたくない」

そういえば、私は人から「嫌われたくない」と定期的に言われる気がする。高校生の頃は「何をされるかわからないから絶対に嫌われたくない!」と吹奏楽部のクラスメイトに言われたし、「あなたに嫌われたら、しばらく立ち直れないと思う」と社会人なりたての頃に知り合った人にも言われた。別に私は誰かを嫌いになったところで何もしないし、2人とも嫌いになる前に縁が切れてしまったのだが。

私が、物事の好き嫌いがはっきりしていて、割とフランクに悪口を言う性格だからかもしれない。本当はそんなに人のことを嫌いになったりしないけれど、この「嫌われたくない」という感情が私には理解できない。

だって、人との関係が生まれてしまった以上、失望されたり欠点がわかったり、それが理由で嫌われてしまうことは必ず発生するだろうし、そういう覚悟を持ち合わせながら誰かと関わり続けるのではないのか。本当に大切な人以外に、どんな風に思われたって知らないところで何を言われたって、それは私にとって本当に無関係でどうでもいいことなのではないか。少なくとも、私はそう考えている。

それから、人に気に入られるために曲げられる主義・主張が私にはない。だから、人が私から離れてしまうこと、失望させてしまうのは仕方のないことなのかな、とも思う。もちろん、相手を傷つけること・不安にさせることはしないとか、定期的に連絡を取り合うとか、できる限り自己開示をして会話を進めるとか、一方的であっても好きでい続ける努力をするとか、他者との関わりを続けるなかで守らなければならないことをしたうえでの話ではあるけれど。

やはりよくわからない感情

「嫌われたくない」って厄介な感情だと思う。「愛されたい」「好きになって欲しい」「もっと知りたい」よりもずっと面倒くさい。ちょっと贅沢な考え方な気がする。

多分「嫌われたくない」と思った時点で、すでに相手からはちょっと嫌われている(※この場合、私が本当に嫌いだったかどうかは棚に上げておく)。でも、それを阻止したい。私の経験上、その努力はいつもから回りし、お互いに変な気を遣ってしまって徒労に終わる。一緒にいるだけで疲れる。それで、疎遠になる。

そういう経験は誰だってあるはずで誰にも嫌われないで生きていくなんて絶対に不可能なのに、「嫌われたくない」と思ってしまうのだ。やっぱり、ちょっとずるい。

ここまで書いてみて、私にはよくわからない。意外と大切に思われているってことなんだろうか。だったらもう少し関わる努力をするのではないか。うーん、全然理解できないな。でも、大して仲良くもない、特に何も思っていない人にこそ、よく「嫌われたくない」と言われる機会が多い気がする。

TEXT/あたそ