「あなたに嫌われたくない」とよく言われるけど、私にはその感情が理解できない

「嫌われたくない」って何?

Sam McNamara

この前、コロナ禍以降会えていなかった友だちと初めてサシ飲みをして、別れ際に「嫌いにならないでね!」と軽い冗談を言われてから、「嫌われたくない」という感情について考えている。

また、今年の夏に、大学を卒業して以来一度も会っていなかった男友達と再会する機会があって少しだけ話をしたのだけれど、その人にも「俺はお前に嫌われたくない」と言われたことを一緒に思い出す。

私には、学生時代の友だちがほとんどいない。それは小中高だけではなく、大学時代にも言えることだった。特にサークルで知り合った男性の先輩・同級生・後輩は、ほぼ縁が切れている。あの頃特有の身内ノリ・男性権威的かつホモソーシャルなノリがどうしても無理だったし、ここにいる必要はないと感じて、ほとんどの人と連絡を取っていない。特に困ってもいない。嫌いというよりは、関わりたくないし、私はこの人たちの身内だと思われたくない。狭い人間関係のなかで勝手にやってろよ、と今もずっと怒り続けてはいる。

SNSのアカウントもブロックしてしまった。私がサークルの色んな人を片っ端からブロックしたことが共有されていたようで、上記の男友達と再会した際「お前に嫌われたくないから、SNSの投稿も控えるようになったんだよね」と言われたのだった。

衝撃だった。だって、全然意味がわからなかったから。そもそも、私たちは今も当時も仲がいいわけではなかった。学生時代、頻繁に遊んだ記憶も深い会話をした記憶もないし、お互いにさほど興味もなかったはずだ。もっと言えば、私は彼が好きか嫌いか判断する材料を何も持ち合わせていない。無関心とか、どうでもいいというステータスがもっとも近い。“友だち”“気にかけておきたい人”という枠組みの中にすらいない。それくらい心理的な距離が遠い相手に対してなぜ「嫌われたくない」と思うのか、私にはよくわからない。

もう5年も10年も会っていないような、顔もなんとなくしか思い出せないような私にひどく嫌われたところで、きっと彼の生活や人生に何の変化も訪れないはずで、どうしてそんな風に思うのだろう。私だったら「まあ、しょうがないか」「こんなこともあるだろう」で終わってしまう気がする。あれから連絡もまったく取っていないけれど、理由をちゃんと聞いておけばよかったのかもしれない。