あり合わせの材料でものを作る考え方

高野さんの旅の詳細を書ききることはとてもできないので省略するが、本書から私たちが取り入れられそうなのは、冒頭で触れたように「今目の前で起きている問題について対処する。未来のことは考えすぎない」ことと、「ブリコラージュ」の考え方だ。

ブリコラージュは「エンジニアリング」と対照をなすとされ、「あり合わせの材料を用いて自分でものを作ること」というような意味である。私流に解釈すれば、将来の計画を立ててそこを起点に逆算し今の行動を決めるのが「エンジニアリング」で、そのときの気分で今の行動を決めるのが「ブリコラージュ」だ。私個人の話で言えば、とりあえず現代社会で生きる場合、お金さえあれば他はどうにでもなる気がしているので、お金とキャリアに関してはけっこう「エンジニアリング」な考え方をしているが(それも十分とは言い難いけど)、他はまったく「ブリコラージュ」である。

本書で高野さん一行の案内人を務めたジャーシム宋江は言う。「湿地帯の将来は暗い。でも今日は楽しもう!!」と。いや、できれば将来も明るくありたいが、何とかしようと思えば何とかなるし、何もしなくても何とかなるんじゃないかと、計画性ゼロの私はぼんやりと期待している。

Text/チェコ好き(和田真里奈)