大きな問題からひとつずつ解消すれば、自ずと変化は訪れる

自分の気持ちを伝える相手は、ざっくり分けると2種類います。
それは、別に嫌われたってどうだっていいやと思える人と、未来永劫よい関係でい続けたいから嫌われたくない人。
相手が前者であれば正直なところどうでもいいと言いますか、心のシャッターを閉めたり、物理的にも心理的にも距離を取ったり、「そういう発言をする人なんだな」と自分の中の“関わりたくない人リスト”に入れて距離をおいたり、留飲を下げるためにガッツシやり合ったり、自分が一番ストレスを感じない方法を選択していいと思います。
片っ端からぶった切っていく方法はきっとあなたにはしんどいでしょうから、そこで無理をする必要はありません。
もし立場を虐げられていたり、セクハラやパワハラなどを受けている状況ならば、声を挙げられないにしても誰かに助けを求めて心身を守る方法を選択してくださいね。

さて、あなたが「自分のこの性格を直したい」と思うタイミングは、おそらく相手が後者の場合ではないでしょうか。
相談文に「言いたいことが言えないのは真の友情じゃない・いい夫ではない」と書かれていますが……そんなことないんだよ! 逆だよ、逆!
真の友情で大事な友達だからこそ、いい夫でものすごーく大好きで骨になるまで仲良しでいたいからこそ、言いたいことを言えないのではありませんか?

「言いたいことを言えてこそ真の友情」といったセリフをたまに耳にしますが、それはあまりに主語が大きすぎますし、相手に対する甘えや自分の怠惰性が混同しているように感じてなりません。
相手が大切であればあるほど慎重になりますし、言葉やタイミングにも敏感になるものでしょう。相手を気遣うからこそ言葉を飲み込むこともあれば、大事にしたい関係だからこそ言いたいことを我慢するのは誠実じゃないよなと覚悟を決めて伝えることもある。それが当然であり、相手を慮っている証拠ではないでしょうか。

「言って離れるならその程度の関係だった」というのもそう。相手がいることですから一概にそうとは言い切れません。どれだけ言葉を尽くそうが、どれだけ関係維持のために努力しようが、避けられない縁の切れ目は人生の要所で待ち構えているもの。本人の努力次第ではどうにもならないことはあるのです。
まずはこれらの呪いから解放されてほしいと思います。
万人から好かれるなんてどだい無理な話。そこに囚われてばかりいては息苦しさが伴いますし、結局は八方美人と捉えられて願っていたことと逆の状況に陥ってしまいかねません。
好きな人に嫌われたくない、好かれていたい、という至極真っ当な考えはこれからも持ち続けていいのではないでしょうか。

とはいえ、大事な人といい関係を築くためだからと、自分ばかりが溜め込んだまま過ごすのもしんどいですよね。
今回、相談文にあなたの心の機微については詳しく書いてくださいましたが、彼とのやりとりなど具体的な内容については書かれていないため、実際に例を挙げてお話しするのも難しいのですが……。

あなたは相手が大事な人のときこそ、悩んでしまうのかなと感じたのですが、いかがでしょうか。
結婚を考えているくらいですから、きっと彼の性格もそれなりにわかっていて、彼のことが素敵な人だと、大好きだと思っているのでしょう。また、彼自身もあなたの性格をわかったうえで、大好きだと思っているはず。
だから、もしあなたが彼に言いたいことを言えば、普段ははっきりとした物言いをしないあなたのことだから……と真摯に捉えてくれるのではないでしょうか。

もちろん配慮は大事です。仕事でクタクタになって帰ってきた夜中にわざわざ言う必要はなく、先にお話ししたようにタイミングは見計らったほうがいいと思います。
そうやってタイミングを見計らい続けていたら、言いたいことを全部言う暇なんてない! と感じるかもしれませんが、言いたいことを全部言うなんて無理なんです。
物事に優先順位をつけて、上から順番にちょっとずつ消化していくだけで十分です。抱いている不満は繋がっていますから、大きい問題が解決したら、小さい問題にも自ずと変化が訪れるはずです。

自分を律しつつも、相手に甘える信頼感を持とう

あなたには、自分の愛する人たちのことを今よりもちょっとだけ信用してほしいと思います。
「こんなことを言ったら嫌われてしまう」「嫌な人間だと幻滅されてしまう」と考えるのではなく、「わたしの大好きな人たちがこれくらいのことでわたしのことを嫌いになるわけない!」といった風に。

わたしはいつも、大好きな人たちに対して「わたしのことを大好きでいてくれてありがとう、こんなわたしとずっと仲良しでいてくれてありがとう」と思っています。
別に自己評価が低いとか、「どうせわたしなんて」と卑下していうわけではありませんよ。なぜならわたしはわたしのことが大好きだし、誰がなんと言おうと唯一無二にして最高の女ですから。

でも、どうしたって人間は完璧でないのですから、失敗をすることや間違いを犯すことはあるのです。
これまで、失言や思いやりのない行動など、自覚のある/なしにかかわらずたくさんの“やらかし”をしていたはず。それでも相手が許してくれたり、見逃してくれたり、飲み込んでくれたりしながら、なんだかんだわたしに愛おしく思える部分があって、憎めない奴だと受け止めてくれているから関係が続いているんだろうな、と。

ほんとうに取り返しのつかない失態をしてしまったときには、わたしを好きでいてくれる人たちはわたしのために損得勘定なしに怒ってくれるはずだ! とちょっとは相手を頼ってもいいのではないでしょうか。
そんな風に、自分を律しつつも、人間だからダメダメなときもある! ごめんだけど、あなたのことが大好きだからそれに免じてくれ! という甘える気持ちが、今のあなたには必要だと思いますよ。

Text/ものすごい愛
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