「熟女」って言葉は難しい。褒める場面でもエロメディアでも使われるから

先日、阿佐ヶ谷ロフトAで行われた「熟女のから騒ぎ」というイベントに出席してまいりました。出演者はAV監督の真咲南朋さん、元女王様で緊縛師、女性向けSM店Lotusのオーナーでもある芙羽忍さん、新宿ゴールデン街Sea&Sun店長を務めている漫画家のドルショック竹下さんというメンツで、“熟女”という共通点一本で遣り切ろうというなかなかに挑戦的なイベント。初めてステージで脱いだ20歳から25年、わたしも熟女と呼ばれるまでになったかと感慨深くもありました。

しかし、熟女という言葉ってちょっと難しくないですか。だって、オジサン向けの実話誌とかアダルトビデオとか、官能小説といったエロメディアで主に使われる言葉だし、だから女性自らがなかなか熟女とは自称することはない。一方では「色香のあるオトナの女性」というニュアンスもあるから、褒め言葉でもある。おばさんと呼ばれるのは嫌でも熟女ならば、まぁいいかという雰囲気もあるし、しかし、熟女=若くない、だったり、熟女=性の対象という要素も含まれているので、もちろん問答無用にそう呼ばれるのはあり得ないという人もいる。

わたしは人からどういう存在だと受け取られてもいいという投げやりなところがあるので、熟女といわれたとしても「あざーす!」くらいの感じだけれども、イベント中、ドルショック竹下さんは熟女は遠慮がちであってほしいので「こんなわたしでいいの?」というエクスキューズを示すと発言していました。

図々しさはおばさんの特徴といわれるけど

確かにおばさんの特徴といわれているもののひとつに、図々しさというものがある。ちょっと話は変わりますが、わたしは毎月、「サブカルおばさんたちの通う女子校 聖ドクダミ女学院」というトークライブにも登壇しています。レギュラー陣は漫画家の安彦麻理絵さん、占い師で掟ポルシェさんの奥様の日下ゆにさん、そしてわたしの3人。そこに毎月ゲストをお招きしてやっているのですが、そのゲスト陣がとても豪華なのです。これまでのゲストをざっとあげると内田春菊さん、サムソン高橋さん、能町みね子さん、中村うさぎさん、岩井志麻子さん、川本真琴さん、大槻ケンヂさん、大木温之さん、ドルショック竹下さん、山本直樹さん、辛酸なめこさんって、ちょっとすごくないですか。

なぜこんなことになっているのかというと、「わたしたち、おばさんだから怖いものがないじゃないですか。会いたいゲストにオファーして、例え断られたところでまったく傷つかないから、どんどんオファーしていきましょう!」という、日下ゆにさんの信念の賜物なのです。そういう意味では、「こんなわたしでいいの?」と遠慮がちになるよりも、図々しくやりたいことを実現していったほうが、楽しく生きられるわけで、おばさんであることも悪くないよね、という感じもあり、なのでわたしは、おばさんマインドと熟女らしい雰囲気の、その両方を得ることを心掛けたいと思っております。

Text/大泉りか