オバさんになったからこその楽しみ
けれども、オバさんになったからこその、楽しみもあります。それは、女友達に誘われて通い始めたパン教室です。若い頃には、パンを焼くなんてことには、まったく興味はありませんでしたが、いまは女たちとくっちゃべりながら、粉を捏ね、成型し、発酵させ、焼き上げ、食べるのが楽しくて仕方ない。発酵後のぷくぷくに膨らんだ生地に「あかちゃんみたい!」と胸をときめかし、講師の「最近、使用するソーセージのサイズが変わったですよ」という説明に「前のはもっと長かったよね」「でも短いけど太っ……フフッ」と目を合わせて微笑み合う。
あたいを癒してくれるのは、男肌だけだと思っていたのに、もう、パン肌から離れられない……という、パンへの愛はさておいて、ミニスカートがどう、水着がどう、なんていう同調圧力なんて気にせずに、自分の思うように行動ができ、異性から与えられる以外の楽しみや喜びを持っていれば、オバさんでも楽しいことは間違いありません。だからオバさんになっても大丈夫!
Text/大泉りか
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