分断を煽るのでは…?「シスターフッド」の苦手意識を払拭させた『女の子の謎を解く』

幼い頃、「セーラー○ーンごっこ」に友達同士で身を投じた経験のある私(30代半ば)と同世代の女性は、決して少なくないはずだ。問題はそこで誰の役を演じていたかだが、いちばん人気はあれですよね、金星の女の子。続いて水星の女の子、他諸々ときて、どういうわけか私のまわりには、ごっこ遊びにおいてはあまり人気のなかった木星の女の子の役をやっていたと語る女性が多い。

かくいう私も木星の女の子の役ばかりやっていたのだが、高身長で男勝りな木星の女の子は、物語内においては魅力的でも、ごっこ遊びに興じる小学生女子の間で取り合いになるようなキャラクターではなかったように思う。私自身は「所詮遊びでしょ、喧嘩して余計なエネルギー使いたくないし誰でもいい」と思って(木星の女の子が本当に好きな人、ごめん)あえて競争率の高くないキャラを選んでいたのだが、動機はどうあれ、大人になって身のまわりに元・木星の女の子役の女性が多いことを考えると、これはいわゆる類は友を呼ぶってやつなのかもしれない。

そんな幼き頃の苦い記憶を反芻しつつ、今回語りたいのは三宅香帆さんの『女の子の謎を解く』だ。本書は『源氏物語』から『風の谷のナウシカ』、『トーマの心臓』から『凪のお暇』まで、古今東西の様々なヒロイン・あるいはヒロインが活躍する物語を取り上げられる。そして、時代とともに変遷していく理想の女性像や、女性をめぐる作品のテーマを探っていくのだ。

シスターフッドへの苦手意識をちょっとだけ払拭できた

本書の話題は多岐にわたっている。姉妹キャラクターはなぜ姉が落ち着いていて妹が元気なのか。現代における「シンデレラストーリー」って何なのか。しかし、なかでも個人的に面白かったのは、第三部で書かれていた「シスターフッドの変遷」だ。

告白すると、本書を読む前、私は「シスターフッド」の物語にちょっと苦手意識があった。女性同士で連帯を深め、家父長制的な価値観から脱する物語――といえば穏やかだけど、キャリー・マリガンが主演を務めた映画『プロミシング・ヤング・ウーマン』みたいに、男性を罰することに重点が置かれた物語になってしまうと、余計に男女間の分断を煽るのでは……という考えがあったからだ(『プロミシング・ヤング・ウーマン』はそこに収まりきらない映画だと思うし、シスターフッドものの中では珍しくモヤモヤせずに観れた作品で好きなんだけど)。

『女の子の謎を解く』は、『アラサーちゃん』『裸一貫! つづ井さん』などをシスターフッドものの作品として例にあげる。『アラサーちゃん』は終盤でヤリマンちゃんがフェミニズムに目覚めるなど意外な展開からも目が離せなかったが、あのアラサーちゃんが、ゆるふわちゃんが、最終的にわかりやすい「恋愛」や「結婚」を選ばなかったという結末を連載当初誰が予想しただろうか。冒頭から「シスターフッド」の存在が示唆されている物語への苦手意識はまだ拭いきれない私だけど、当初は「恋愛」「結婚」を重要視して始まった(ように私には見えた)『アラサーちゃん』がこの結末にたどり着くのは、やっぱり感動である。ということに、『女の子の謎を解く』を読んで改めて気づかされた。

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