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  • 2013.03.26

ノマドセックス女子を襲う“ヤリマン搾取”の構造(3)

第3回:リスク管理も問われる“ヤリマン搾取”の過酷な実態

成功者はごく少数!不当に安く
使われる“下層ノマド女子”たち

Nurture By rickyqi
©Oceane+Dombard

 これまで2回にわたって、“ノマドセックス女子”の生態について紹介してきました(第1回はこちら→第1回:フリーランス型恋愛で、性の冒険に出よう、第2回はこちら→第2回:営業しなくてもセックスが舞い込むブランディング術)。


 おかげさまでたくさんの反響をいただき、Twitter上は非難や嫌悪感に近いノマドセックス批判で大いに燃え上がりました。
しかし、私はこのコラムで、決して牧歌的にノマドセックスを礼賛したり、その生き方を推奨してきたわけではありません。

 私が知っている、ある“ノマドセックス女子”は、芸術家・岡本太郎の著書『自分の中に毒を持て』の中にある「危険な道を選べ」という言葉に感化され、本命彼氏と別れてノマドセックスをするようになったと言います。

 これはつまり、ノマドセックスという生き方が“危険な道”である、ということを意味しています。

 ここで、あえて誤解を恐れずに、シビアな現実をはっきり言ってしまいましょう。
実は、“ノマドセックス女子”として成功できるのは、男を惹きつける性的魅力に富んでいて、それを自覚したうえで利用することができる、ごく少数の女性だけです。

 ノマドセックスという概念を初めて提唱した、フランスのセックス思想家ファック・アタリは、その著書『21世紀の性の歴史』の中で、“ノマドセックス女子”を以下の3つの階層に分類しています。

・ハイパーノマド
自分の主体的な意志に基づき自由恋愛&フリーセックスを楽しむ“素敵ビッチ”
セルフブランディングによって自分の価値を高めることに成功している。

・バーチャルノマド
自称“彼氏は作らない主義”のフリー女性。本当は本命彼氏が欲しいにもかかわらず、“二番目の女”に甘んじていることに対する強がりであることが多い。

・下層ノマド
本人は「自分の意志で納得してノマドセックスをしている」と言い張るが、はたから見ると完全に“都合のいいサセコ”になっている女性。

 そして問題は、“ハイパーノマド”になれるのが、もともと性的魅力や恋愛スキルの高い女性のみであるという事実。
黙っていても、バリューの高い男性から本命彼氏の申し出が後を絶たないような人ばかりなのです。

 その点を理解しないままノマドセックスライフを始めた女性が、“下層ノマド”として中途半端なセフレ状態となり、男性による“ヤリマン搾取”の構造に組み込まれてしまうことは少なくありません。
自分自身の価値を実際よりも高く見積もったせいで、そこに付け込まれ、不当に安く利用されてしまう女性がかなり存在するのが現状なのです。

“若さと容姿のコモディティ化”が招く
“ハイパーノマド女子”であることの困難

 ノマドセックスは、“彼氏と彼女”という一対一の契約関係ではなく、“需要と供給”というマーケットプレイス的な自由競争で動いている仕組みです。
そのため、大変悲しいことですが、「男は結局、若くてかわいい子が好き」という市場原理の中に組み込まれてしまうことになります。

“ノマドセックス女子”は、「男の都合ではない、主体的で自由なセックス」を目指していたはず。
ところが、“ハイパーノマド”になれるか“下層ノマド”になってしまうかは、結局のところ“男からみた性的魅力の有無”という「男の都合」で決められてしまうのです。

 これを、専門用語で“若さと容姿によるコモディティ化”と呼びます。
はい、もうおわかりかと思いますが、“コモディティ化”って言葉を使いたかっただけです。
要するに、「単純に若くてかわいい子ほど、有利にふるまえる」という身もフタもない状況がまかり通ってしまっているわけですね。
このようなシビアな状況の中で、女性が“ノマドセックス女子”として成功するには、よほどの性的魅力か、卓越したセックススキル、または恋愛能力が必要とされます。
仮にそれを持ち合わせていても、今度は“加齢による若さと容姿の減退”と戦わなければなりません。
つまり、不毛な“オトナ女子化”“美魔女化”を余儀なくされるのです。

妊娠や性病のリスク管理も自分で…
誰も守ってくれないノマドライフのつらさ

 いずれにしろ、“ノマドセックス女子”は、きわめて特殊で傑出した“性のスペシャリスト”であることが求められるということです。
しかも、男性側の欲望を取り込んでいる限り、実年齢が若い女の子には勝てませんから、最初から負け戦であり、無理ゲーです。

 これは、とてもすべての女性におすすめできる生き方ではありません。
そこそこの女性が、そこそこの幸せを手に入れるには、これまで通り“一人の本命彼氏に絞って関係を築き、その人と結婚する”ことを目指すほうが無難なのです。


 さらに“ノマドセックス女子”の問題点はそれだけではありません。
フリーランスのノマドワーカーが企業から守ってもらえないように、“ノマドセックス女子”には、いざというときに「彼女だから」という理由で守ってくれる彼氏がいません。
いわば会社からの福利厚生がなく、税金対策も自分でしなければならない状態です。

 複数の男性と関係を持つことによる妊娠や性病のリスクについても、すべて自分で責任を負い、対策をしなければなりません。
プロの風俗嬢は、一般の女性よりよっぽどこまめに、しっかりと性病検査を受けていますが、それと同等かそれ以上のリスク管理が問われるのです。

 また、カフェと同じで、一人の男の家に長居すれば嫌がられますし、帰るときは自分のいた痕跡を残さないのがルールでありマナー。
外のホテルを使う場合は、ホテル代もワリカンです。

 一見、自由気ままに見えるノマドセックスライフですが、本命彼氏が自分の時間や空間、所属を保証してくれず、すべてが自己責任という状況は、想像以上につらく寂しいものです。
「本命彼氏に縛られないほうが気楽だから…」といった程度の意識でノマドになると、たちまち“ヤリマン搾取”の餌食になって下層化、貧困化していくでしょう。

 にもかかわらず、なぜ“ノマドセックス女子”はあらわれ、そしてこのコラムはTwitter上でボコボコに叩かれたのでしょうか。

 最終回となる次回では、“ノマドセックス女子”登場の背景と、ノマドセックス批判から見えてくる現代の恋愛と結婚の問題点について、まとめてみたいと思います。

Text/福田フクスケ
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ライタープロフィール

福田フクスケ
フリーライター。“くすぶり男子”の視点から恋愛やジェンダー、セックスなどを考察。

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