著名人とセックスするときは歌舞伎町のホテル街を避けるべし/中川淳一郎

かつていわゆる「著名人」とエロをしていた時期がある。彼女は既婚者で、僕より2歳年上。どのジャンルの著名人かも具体的年齢も書かない。1年半の間に3回したので、半年に一回というところか。最初のときは冬のとある合コンの後、同じ方向に帰るのが僕たちだけだったのだ。酔っ払った勢いで「ホテル、行っちゃおうか!」「いいですね! でも、バレないですか?」「大丈夫。暗いし、私、帽子を深くかぶってるからさ」という展開になり、ラブホテルへ。

確かにすれ違う人にもバレなかったし、結局この日は朝まで5回セックスをし、ヘトヘトになり寝たのは5時。起きたのはチェックアウトの30分前である10時30分だった。「恵子さん、ちょっとヤバいですよ! 暗い内の6時とかに出られれば良かったのですが、オレたち、ヤりすぎました!」と慌てて恵子さんを起こした。彼女は「ニノミヤさん、大丈夫ですよー。とりあえず私、おしっこして少し顔だけ洗い、すっぴんのまま出て帽子をかぶっていれば大丈夫」と言った。

渋谷・円山町や新宿・歌舞伎町のホテル街であれば、週刊誌記者が張っている可能性はあるが、我々が行ったのは恵比寿のラブホテルである。その点安心ではあったものの、何しろ恵比寿・中目黒あたりは芸能人の密会が多く、記者もそこそこいるだろうから危険度ランキングでいえば上位に入るのでは。その点で危険性はあったものの、というか、わざわざラブホテルを張る記者はいないか。週刊誌のゴシップネタ的価値のある人間にはすでに店の段階から張り付いているだろう。この日の合コンでは記者風の人物はいなかった。そこを恵子さんは分かっていただけに、まったく心配していなかったのだと思う。

五反田のラブホテル不倫を報じられた女性キャスターとプロ野球選手は、金持ちの二人にしては破格の宿泊費9,800円だったことから仰天されたが、確かに著名人のラブホテルでの密会報道はあまりない。そういった意味で、その前段を探られなければラブホテルはカモフラージュになるのかもしれない。

記者を避けるための方針

となれば、次回以降会うときの方針としては以下になった。

【1】 記者が張り込んでいる可能性が高い渋谷・恵比寿・新宿歌舞伎町・三宿・六本木は避ける

【2】メディア関係者が住んでいる率が高く、たまたま飲み屋で遭遇してしまう可能性がある神楽坂・三軒茶屋・月島・下北沢・高円寺・阿佐ヶ谷・荻窪・中野・五反田・吉祥寺・二子玉川・代々木上原・代々木八幡・根津・谷中で飲むことも避ける。何しろメディア関係者同士は知り合いであることが多く、たとえ業界が違っていたとしてもゴシップを追うメディアの記者に知り合いがいて「おい、〇〇が今、三軒茶屋の焼肉屋でデートしてるぞ」などと密告することが多いのだ。

この2つの方針を考えたところ、次回以降会う場所としての条件は「記者が張り込んでいない場所」「メディア関係者が住んでいなさそうな場所」かつ「ラブホテルがある場所に近い」である。これで合致したのは「鶯谷」「上野」「湯島」の3つとなった。