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  • 2014.05.03

濃厚な愛撫にしびれる体!隠れデブ専のイケメン同僚に押し倒されて/『プリンスは太めがお好き?』(後編)

ぽっちゃりした男性よりも、ぽっちゃりした女性の方が生きづらい世の中?

大泉りか 官能小説
Tiffany Bailey


 突然にカミングアウトすると、わたしはデブ専です。
まぁ絶対にデブじゃないとダメというわけではありませんが、ガリガリの人は無理だし、細マッチョにもそそられません。 できれば平均よりはガチムチとしている人が好き。
ちなみに過去に付き合った彼の中で、一番の巨漢は180センチ130キロオーバー。
今の夫も、デブとまでは行きませんが、腹は十分に出ています。

 さて、デブの魅力とは何か? と問われると、その大きさに勝手に心と身体が魅かれてしまう……ようするに『わたしの持っているフェチ』としか言いようがないのですが、ただ、太った方と付き合うことで、身を持って感じたメリットがいくつかあります。

 一つは、太っている人は恋愛弱者だというコンプレックスを持っていることが多いため、付き合うととても優しくしてくれること。
ペニスが腹に埋もれていて小さいのではないか、と信じ込んでいるゆえに前戯が丁寧なことが多い、他にも、周囲に『ルックスで人を選ばないできた人間』だとありがたい勘違いをされたり、少しくらいこっちが太っても「痩せろよ、デブ」なんて言われることは絶対にありません。

 もっとも、たまにオラオラタイプのデブ男もいて、そちらは『デブのくせに生意気』だと思ってしまうので、やはりわたしもまた、どこかではデブという生き物を自分よりも下にみていることは確かです。

 この『デブは世の中でバカにされやすい問題』ですが、男性のデブよりも女性のデブのほうがその悩みは深刻です。
なぜならば、異性をルックスで判断しがちなのは断然に男性ですし、女同士のヒエラルキーにおいても、互いの美醜が大きく関わってくるせいです。
ようするに女社会であっても、美人のほうが立場が強く、優遇される。

 前編に引き続きご紹介する『プリンスは太めがお好き?』山内詠著(プランタン出版オパール文庫刊)のヒロイン、智美もまたその女社会ヒエラルキーの犠牲者です。

憧れの彼は実はデブ専だった…!

大泉りか 官能小説
『プリンスは太めがお好き?』/山内詠/プランタン出版オパール文庫刊


 智美の会社にある金曜電話当番制度、略して金番。
花金の夜(死語)の21時までは、必ず誰かが事務所で電話番をしなくてはならないこの悪しき習慣。
デートやら合コンやらの予定があるため、金曜日は一刻も早く帰りたい同僚たちに、毎週これを押し付けられているのは‟人がいい“とされているぽっちゃりキャラの智美。

 が、しかし、皆が嫌がるこの金番、実は智美にとっては何よりも楽しみにしている時間。
というもの、『営業のプリンス』と呼ばれるイケメンエリート社員の黒滝信也が、毎回差し入れを持って訪れてくれるから。憧れの信也と過ごす甘い時間。が、突然、その信也にキスをされて――。

 ゆっくりと机の上に押し倒される。背中に当たった電源を切り損ねたノートパソコンの熱を感じた。だけど自分以外のものを気にすることができたのは、そこまでだった。
 終わらない口づけに、私は嵐に遭遇したボートみたいに翻弄される。高波に飲み込まれないように必死に息を繫いだ。
 なまめいた感触は、唇だけではなく額や瞼、頬、鼻……顔中至る所に降ってきて、涙の跡まで全て食べつくされてしまう。
 黒滝さんは、キスと一緒に「俺を受け入れてくれ」とうわ言のように繰り返した。
 おかしいよ。誰にも受け入れてもらえないのは、私の方なのに。(中略)

「本当に智美は何もわかってないね」
何を? と問いかけそうとした時、突然胸の先端を黒滝さんの指先が弾いた。
「んやぁっ!」
 その途端、今までの電流のような感覚が背筋を通って頭の中まで駆け抜けた。あまりの衝動に、背がまるで弓のようにしなる。
「ほら、身体の方が、正直だ」
(『プリンスは太めがお好き?』P125L13―P140L5)

 

 まさかのプリンスからの激しい求愛に、戸惑う智美。
そう、実は信也はデブ専趣味を持っていたのです。

「仏頂面系デブ女」が認められたときに、初めてデブ女が解放される


 最初は信也の優しさが信じられなかった智美ですが、その真摯な態度に少しずつほだされ……誰もが応援したくなる前向きぽちゃ女子、智美のロマンチック官能ラブストーリー。
女性向け官能ノベルの老舗、プランタン出版が新しく立ち上げたオトナ女子のための「ジョシロマ系」ノベルの第一弾でもある今作は、さすが女子に勇気と希望を与える良作です。

 特に自分がぽっちゃりしていることにコンプレックスを持っている女性は、きっと読み終えた後に「そっか、中身を磨いて可愛く、女の子らしくいれば、太ってたって幸せになれる!」と明るい気持ちになれるはずです……が。
前編で、わたしが抱いた『諸手を挙げて「よかったね!」と彼女たちの解放を祝う気になれないのは、なぜなのだろうか――』の答えもまたここにあります。

 もちろん、可愛くあろうと努力することは、太っていようがいまいが、とても大切なことかもしれません。
そして、このコラムの中ほどでも、オラオラ系デブ男について、『デブのくせに生意気』だと書きました。が、これはあくまでも男の場合であり、女性の場合はまた別の話。
なぜなら、オラオラとした男と毅然とした女はまったく違うものだからです。

 マシュマロ系女子たちが、こぞって『可愛くあろうと努力しよ♥』という風潮になびき、媚びに傾きつつある今、わたしが待ちわびているのは、“明るくて、人がよくて、いつも笑っていて、食べることが大好きなデブキャラ”のステレオタイプにハマらない『仏頂面系デブ女』です。

 その圧倒的な肉体の迫力でもって他を圧倒し、「生意気」だと誹られても、傲慢な表情で背筋を伸ばしたbig beautiful womanが、男性たちの賛美を得たその時こそ、デブ女子が本当に解放される瞬間なのではないでしょうか。

Text/大泉りか

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ライタープロフィール

大泉りか
キャバ嬢、SMショーのM女、ボディペインティングのモデルなどの経歴を経て、現在は官能小説家、ライトノベル作家。

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