ツンデレの進化形態、ツンマゾに迫る(前半)

大泉りか ツンマゾ! ツンなお嬢様は、実はM えすかれ美少女文庫 著・葉原鉄 By Mikamatto

 「わたし、ドMなんですよ~」
合コンの場や酒場などでよく耳にするこのフレーズ。
耳にして「あ~、はいはい」と鼻白んだ経験のある方、多いですよね?

 「サバサバしてるって言われるんで~」という“自称サバサバ女”や「天然なんです、えへへ~」という”自称天然ちゃん”など、“自称系女子”は基本的に皆ウザいですが、その中でも、“自称ドM”が最もウザいと思うのです。

 それはなぜかと考えると、恥ずかしげもなく“自称”でものを言ってのけることのできるぶっ太い神経が憎いのはもちろんのこと、“マゾ”という言葉を武器に、男性に性的に媚びているのがみえみえであるからです。

 ……というのは建前で、自らの本音を探っていくと、実のところ、隠そうわたしも自分をマゾであると思っているからではないか、というあまり認めたくない結論に達しました。
ようするに先に「マゾ宣言」をするなんて「ズルい」という嫉妬です。

 そこで張り合うべく、「わたしもMなんだよねー。どれくらいMかっていうと、裸コートでパークハイアットの中をお散歩させられたことあるし!」とか「性癖が高じて学生時代に緊縛モデルやってたんだから。○○ちゃんもMっていうんだったら吊りくらいは経験あるでしょ? え? ないの?」などと〝自称M”女を追い込んでいくと、気分的にすっきりとはしますが、「誰だ、この空気の読めない変態女」としらけた雰囲気になってしまうことは想像に難くありません。

 したがって無邪気な“自称M”に対峙した際には、密かに奥歯をギシギシ言わせながらも、だんまりを決め込むしかないのです。「どうせMっていっても、『冷たくされるのが好きなんです~』とか『いつもつっこまれ役なんです~』ってレベルだろ」と心の中で突っ込みながら

 さて、前置きが長くなりましたが、今回ご紹介する作品は葉原鉄氏の『ツンマゾ!―ツンなお嬢様は、実はMです。フランス書院の美少女文庫というレーベルからリリースされている作品になりますが、今までに紹介した3作品と大きく違うところは、この美少女文庫は、“ジュブナイルポルノ”とよばれるジャンルであることです。