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  • 2013.02.08

「ツンデレ」の進化形態、『ツンマゾ!』に迫る(前半)

大泉りか ツンマゾ! ツンなお嬢様は、実はM えすかれ美少女文庫 著・葉原鉄
By Mikamatto

 「わたし、ドMなんですよ~」
合コンの場や酒場などでよく耳にするこのフレーズ。
耳にして「あ~、はいはい」と鼻白んだ経験のある方、多いですよね?

 「サバサバしてるって言われるんで~」という“自称サバサバ女”や「天然なんです、えへへ~」という”自称天然ちゃん”など、“自称系女子”は基本的に皆ウザいですが、その中でも、“自称ドM”が最もウザいと思うのです。

 それはなぜかと考えると、恥ずかしげもなく“自称”でものを言ってのけることのできるぶっ太い神経が憎いのはもちろんのこと、“マゾ”という言葉を武器に、男性に性的に媚びているのがみえみえであるからです。

 ……というのは建前で、自らの本音を探っていくと、実のところ、隠そうわたしも自分をマゾであると思っているからではないか、というあまり認めたくない結論に達しました。
ようするに先に「マゾ宣言」をするなんて「ズルい」という嫉妬です。

 そこで張り合うべく、「わたしもMなんだよねー。どれくらいMかっていうと、裸コートでパークハイアットの中をお散歩させられたことあるし!」とか「性癖が高じて学生時代に緊縛モデルやってたんだから。○○ちゃんもMっていうんだったら吊りくらいは経験あるでしょ? え? ないの?」などと〝自称M”女を追い込んでいくと、気分的にすっきりとはしますが、「誰だ、この空気の読めない変態女」としらけた雰囲気になってしまうことは想像に難くありません。

 したがって無邪気な“自称M”に対峙した際には、密かに奥歯をギシギシ言わせながらも、だんまりを決め込むしかないのです。「どうせMっていっても、『冷たくされるのが好きなんです~』とか『いつもつっこまれ役なんです~』ってレベルだろ」と心の中で突っ込みながら

 さて、前置きが長くなりましたが、今回ご紹介する作品は葉原鉄氏の『ツンマゾ!―ツンなお嬢様は、実はMです。フランス書院の美少女文庫というレーベルからリリースされている作品になりますが、今までに紹介した3作品と大きく違うところは、この美少女文庫は、“ジュブナイルポルノ”とよばれるジャンルであることです。

大泉りか ツンマゾ! ツンなお嬢様は、実はM えすかれ美少女文庫 著・葉原鉄
ツンマゾ!―ツンなお嬢様は、実はM』/えすかれ美少女文庫/著・葉原鉄/¥680

 “ジュブナイルポルノ”とはその内容や表紙、中イラストなどが、アニメやライトノベルの“萌え”を意識したかたちで書かれた官能小説の一ジャンルです。萌え業界の定番用語である“ツンデレ”の進化系というべき『ツンマゾ!』。

そのヒロイン・ツンマゾ少女の鷲尾真子を“調教”するハメに陥ったのは、学校の廊下で真子の落とした巾着袋を偶然に拾ったクラスメイトの北野健児。
袋の中身を見られたと勘違いした真子は、健児を自宅へと連れ込んで――。

真子は身を翻し、部屋の隅に置いてあった通学鞄から例の巾着袋を取り出し、乱暴な手つきで開いた。
「お、おい! 誰がそんなことをしろって言ったよ!」
 ちょっと好奇心が疼くのは否めないが、いやがってる女の子の秘密を暴くことに気分が悪くなるのも事実だ。
 彼女の手首を握ってとめようとしたが、その時にはすでに口の開いた巾着袋が床に叩きつけられたあとであった。
 こぼれだしたのは――半球状のマッサージ機と、オレンジ色の輪ゴム。
「……肩が凝ってるのか?」
「この期に及んで、まだとぼけるのね! 外道王! 変態王! 地味王! 空気! エアバッグ!」
 最後のほうは地味に効いたが、それはともかく。
 いくら手首を握っても、脳天沸騰した真子の口までとめられるはずもなく、一世一代であろう彼女の大告白を健児はふたりきりの部屋で聞くことになった。
「わ、私は! 学校のトイレで、輪ゴムでクリトリスをギュッとして、電マオナニーしてイキ狂うようなマゾ女です!」 (『ツンマゾ!』P24P11-P25P11)

 これぞまさにマゾの鏡。そうです、自分がマゾだということを告白することはそれくらい勇気が必要なはずなのです。それなのに『自称ドM』女たちといったら……(奥歯ギシギシ)

【後半に続く】
後半は『ツンマゾ!』について更に掘り下げていきます。
お楽しみに!
Text/大泉りか

ライタープロフィール

大泉りか
キャバ嬢、SMショーのM女、ボディペインティングのモデルなどの経歴を経て、現在は官能小説家、ライトノベル作家。

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