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  • 2012.07.11

第5回:『私が恋愛できない理由』と『ハッピーマニア』の意外な共通点

 みんな、どう? 最近、ちゃんと恋愛できてる?

 こんにちは、モテ系リア充ライターの福田フクスケです!
先日、夏菜似の歯科助手さんがボクの診察台で……え? もういい?
お前が「モテ系リア充ライター」じゃないことはもうバレてるって?

 すいません、バレちゃったなら仕方ありませんね。
開き直って、今週も往年の恋愛ドラマをあえて見直し、勝手に深読みしていきましょう!
(おっかしいなあ、なんでバレたんだろう…)

 今回のテーマは、大島優子(AKB48)の「私、バージンなんです…」というセリフが
一部で物議を醸した2011年のドラマ『私が恋愛できない理由』です。

“月9のリアル”は今、完全にスベッている!

1 2 3 4, tell me that you love me more ! By Marina(im.back)
©1 2 3 4, tell me that you love me more ! By Marina(im.back)

実はこのドラマ、長らく視聴率低迷が続いていたフジの月9ドラマの中で、
とりわけヒットした作品、というわけではありませんでした。

 主演の香里奈に加え、人気絶頂の吉高由里子と大島優子をレギュラーに起用。
月9としては久々に恋愛をがっつりメインテーマに据えて鳴り物入りで始まったものの、 話題になったのは、先に挙げた大島優子の「バージン」発言と、ベッドシーンくらい。

 男勝りで、女性扱いされることが苦手な藤井恵美(香里奈)、 男には不自由していないが本気の恋をしたことがない小倉咲(吉高由里子)、 男性経験がないことを気にして重くなってしまう半沢真子(大島優子)。

 三者三様の“恋愛できない理由”が描かれる設定はそれなりに興味を引きましたが、 肝心の物語にあまりリアリティを感じることができませんでした。

 もちろん「リアリティのあるドラマ」=「いいドラマ」というわけではありませんが、 3人がルームシェアをして“本音の女子会トーク”(笑)をしてみたり、 日本版『SEX and the CITY』を狙っているような演出があったり、 挙句の果てに最終回では、生放送で東京タワーのライトアップを映してみたり……。

 制作側の意図していた“いまどき”“オシャレ”“月9っぽさ”が、
ぜんぶひと昔前のトレンディドラマみたいで、ことごとくスベっていたんですよねぇ。


 かつてのように、ドラマがその時代の恋愛観をリアルに表現できた時代は 完全に終わったんだな……と、なんだか寂しくなってしまいました。

稲森いずみが演じた2人の女性とは?

 そんな『私が恋愛できない理由』には、イベント企画会社の
社長兼プランナーとして、白石美鈴というアラフォー女性が登場します。

 “クリエイティブな職種でバリバリ働くデキる女”が、純粋に主人公たちの憧れとして 理想的に描かれている時点で“ちょっと古い”わけですが、 この役を稲森いずみが演じていることに注目してみましょう。

 彼女の初主演作にして、代表作のひとつとも言えるのが、1998年放送の『ハッピーマニア』。

 この中で彼女が演じたのは、ふるえるような幸せを求めて何人も 恋人をとっかえひっかえするような“恋多き女”重田加代子(シゲカヨ)。
当時のシゲカヨは、現在の恵美や咲、真子と同年代ですが、
“恋愛できない”と悩む3人とは対照的な役柄ですね。


 このドラマもまた、当時としては決して“大ヒットした”とは言えない作品でした。
しかし、安野モヨコの原作コミックは、コメディタッチでありながら 恋愛が“入れ替え可能である”ことをあっけらかんと描き切ってしまった傑作です。

『ハッピーマニア』が暴いた恋愛の入れ替え可能性!?

 主人公のシゲカヨは、運命の相手を求めてワンナイトラブを繰り返しますが、
すぐに「この人じゃなかった」と冷めては、次の恋に突っ走ります。

 この作品が浮き彫りにしてしまったのは、恋愛においては “この人じゃなきゃいけない”という唯一絶対の相手なんて存在せず、 自分の幻想を投影できるオトコなら“誰でもいいのだ”という、 当たり前ですがショッキングな真実でした。

 「あたしはあたしのこと好きになる男なんてキライなのよ!」
というシゲカヨのセリフが表しているのはつまり、 “自分が好きになる男”と“自分を好きになってくれる男”は いつまでも永遠にかみ合わないということ。


 それゆえ人は、「もっといい男がいるはず」
「もっともっといい男がいるはず」という無限ループに陥って、
“どんなに恋愛をしても決して一人を選べない”のです。

“いつまでも決められない恋愛”を強いられている私たち

Pin-up Girl) By Markiza
©Pin-up Girl) By Markiza

 それでは、『私が恋愛できない理由』の3人はどうでしょうか。
 彼女たちは、自分の“こだわり”や“思い込み”にしがみつくあまり、 自分の幻想を投影できる“理想のオトコ”を現実の男性から選ぶことができません。

 今はただでさえ、相手を品定めする条件や、 付き合う前の事前情報をいくらでも手に入れることができる時代です。
「この男じゃない」「この男でもない」と思っていたら、キリがありません。
つまり、“一人を選べないから、いつまでも恋愛ができない”のです。


 『私が恋愛できない理由』の3人と、『ハッピーマニア』のシゲカヨ。
一見、正反対の両者ですが、“幸せ”や“理想の恋愛”という 実体のないものを追い求めているという意味では、どちらも同じなのです。

 さて、『私が恋愛できない理由』の白石美鈴は、幸せな結婚をしたものの、 今度は“子供がほしい”のに“できない”という新たな自己実現の
ぬかるみにハマッて悩み、傷つきます。

 もしも、『ハッピーマニア』で当時25歳のシゲカヨだった稲森いずみが、 『私が恋愛できない理由』で、現在39歳の白石美鈴である稲森いずみになったのだとしたら、 女の幸せとは、果たしていつどこにゴールがあるのでしょうか……。
なんだか、途方に暮れてしまいますね。


Text:Fukusuke Fukuda

ライタープロフィール

福田フクスケ
フリーライター。“くすぶり男子”の視点から恋愛やジェンダー、セックスなどを考察。

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